フードキュレーター 宮内隼人さん

インタビュー

料理人をはじめ、料理にまつわるスタイリストやフードコーディネーター、カメラマンなど、食を支えるクリエイターのインタビューをお届けする連載。料理への向き合い方、仕事観、読者のスキルアップのためのノウハウなど、食を支え、未来を描こうとする様々な職種の方々の料理に対する考えや思いを伺います。

2020年07月28日

日本各地の名所を舞台にした野外レストランとして2012年にスタートしたDINING OUTは、一夜限りのレストランという粋を超えて地域を再編集・再構築し、エリア外からくるゲストにその土地の魅力を伝える画期的な食のイベント。このDINING OUTで「フードキュレーター」というまったく新しい「肩書」をもって活躍するのが宮内隼人さん。元フレンチシェフながら、料理の根幹にある食材に特化したフードキュレーターの道に入り自ら分け進む、異色の食のクリエイターです。

フードキュレーターとは食の編集者である

フードキュレーターは、DINING OUTを運営するONESTORYの代表、大類知樹さんがイベントを進めていく中で考案した名称です。というのも、もともとDINING OUTには、フードキュレーションという役割はありませんでした。もちろん運営と参加する料理人の間に入る存在はありましたが、それを担っていたのは、料理についてほとんど専門知識が少ない運営スタッフだったといいます。

しかし、2015年に佐賀県で開かれた「DINING OUT ARITA with LEXUS」で、アジアを代表する世界的な料理人のアンドレ・チャンさん(当時「レストラン・アンドレ」シェフ)が参加することになると、チャンさんの間に入って食材をコーディネートする役目が重要視されるようになります。

「DINING OUT ARITA with LEXUS」で来日したアンドレ・チャンさん。「料理の発想や組み合わせ方は本当に圧巻でした。それと同時に、世界のトップシェフの考え方や要望など、この時の経験が今でも活きていると思います」と宮内さんは振り返ります。(写真提供:ONESTORY)

 

「DINING OUTは、前職で勤めていた『HAJIME』(大阪)で2013年に経験していました。僕自身、この時のDINING OUTがきっかけで食材にのめり込んで、HAJIMEを退職して、食材の流通を知るために大阪の八百屋で働くまでになっていました。ちょうど、個人的に請け負える仕事を模索していろいろなところに売り込んでいたところで、大類にももちろんプレゼンしていたんです。料理人と同じ言語で話せるし、欲しい情報が何かもわかる。さらに、HAJIMEでは、食材調達担当もしていましたので、アンドレや運営、ホストになる自治体のそれぞれの意向などを伝える存在として関わることになったんです」

これ以降、宮内さんは、食材と地域、料理人を繋ぐ存在としてDINING OUTに関わることになります。

「それから少しして、大類から『食材をハンティングして、世の中にその食材を伝え、情報の整理をしていくのは特殊な技術だよね』と言われて僕の仕事に名付けられたのがフードキュレーションであり、それを行うフードキュレーターという存在でした」

キュレーターとは、美術館や博物館の学芸員で、資料の研究や収集、編集、保存などを行う専門職のことをいいます。宮内さんが考えるフードキュレーションは、料理人とクライアントの間に入って、食材だけでなく、その土地の歴史や風土、そこに住む人たちや文化まで編集して届ける存在として考えています。

 

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撮影/大平正美 取材・文/江六前一郎

フードキュレーター 宮内隼人さん

1977年、東京都出身。料理人を志し、都内のカフェなどで経験を積んだ後、2001年から東京の「ラ・ビュット・ボワゼ」で本格的なフランス料理を修業。2010年「HAJIME」に入り、5年半の経験を積む。さらに大阪の青果卸「野木屋」で生鮮食材の物流を学んだ後、2015年株式会社ONESTORY入社。フードキュレーターとして、地域の食材発掘を手がける。

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