特集記事

中国料理 O2

レストラン
2020年01月7日

豆腐屋や総菜屋、製麺屋などの小さな商店がある一方で、コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物に、ワインバーやセレクトショップなどが入り、新しいカルチャーの発信地としても注目を集めている東京・清澄白河。モダン下町とでもいえるこのエリアにあり、中国料理と自然派ワインという珍しい組み合わせのレストランが「O2」(オーツー)です。店名は、清澄白河の隣、門前仲町生まれのオーナーシェフの大津光太郎さんの名前を暗号化したものです。日本の素材を活かしながら、ひと品ひと品を丁寧に作り上げる料理を目当てに、都内中心部から足をのばす食通が絶えません。

人との「縁」によって育まれるレストラン

店内はカウンター席を含む14席。床面積は10坪ながら、ビルの1階と2階を抜いて天井を高くしているので居心地のよい開放感があります。その店内入口の壁には、金色のネームプレートが埋め込まれています。

店内正面の壁の上半分は鏡張りになっているので、実際の面積以上に開放感があります。

入口の壁には、店舗の製作にかかわった人たちの名前が記載されたプレートがあります。

 

「これは、このレストランを作る時にかかわってくださった皆さんのお名前で、店舗デザイナーさんからのプレゼント。『このプレートをいつも見ながら仕事をしてほしい』という思いが込められています。僕は、人との『縁』を、とても大切にしています」

大津さんは、日本を代表する中国料理人のひとり脇屋友詞さんのレストラン「トゥーランドット臥龍居」に15年に務めた後、2018年3月、36歳で独立しました。

大津さんの師匠である脇屋さんは、1980年代に香港で起こった中国料理の革新運動「ヌーベルシノワ」(新しい中国料理)を日本に広めたパイオニアのひとり。ヌーベルシノワは、それまで伝統的な中国料理に多用されていた油脂の使用を減らし、素材本来の味わいをより活かした新しい中国料理を目指したものです。

O2は、5つの料理からなるおまかせコース(5000円)が中心(アラカルトもありますが、営業に余裕が出てきた遅くの時間のみ)。メニューには、軽くマリネしたブリとハッサク、ハーブなどのサラダや、春菊のシュウマイ、大浦ごぼうと中国ハムのスープなど、季節の素材がしっかりと中国料理の中に活かされています。「15年仕事をさせていただいて、やはり自分の料理には脇屋さんの料理の存在が大きいです」と、大津さん自身もその影響を認めます。

ブリとハッサクのサラダ。シーズニングスパイスと醤油、ライムのドレッシングで。

冬の葉物野菜の代表、シュンギクを餡に加えたシュウマイ。季節感のある食材を使った点心は、O2で味わいたいメニューのひとつだ。

 

1 2

撮影/大平正美 取材・文/江六前一郎

O2の詳細情報

店名 O2
電話番号 03-6458-8988
住所
東京都江東区三好2-15-12
峯岸ビル1F
Google Mapで確認
営業時間 18:00~23:00(L.O.)
月曜休み、ほか不定休あり
カウンター6席、テーブル8席
ジャンル 中国料理

大津光太郎さんのプロフィール

1982年、東京都出身。華調理製菓専門学校を卒業後、東京・赤坂「トゥーランドット臥龍居」に入り、15年間中国料理を学ぶ。トゥーランドット臥龍居を退職後、1年間の準備期間経て2018年3月に「O2」で独立した。