人との「縁」によって育まれるレストラン
店内はカウンター席を含む14席。床面積は10坪ながら、ビルの1階と2階を抜いて天井を高くしているので居心地のよい開放感があります。その店内入口の壁には、金色のネームプレートが埋め込まれています。
店内正面の壁の上半分は鏡張りになっているので、実際の面積以上に開放感があります。
入口の壁には、店舗の製作にかかわった人たちの名前が記載されたプレートがあります。
「これは、このレストランを作る時にかかわってくださった皆さんのお名前で、店舗デザイナーさんからのプレゼント。『このプレートをいつも見ながら仕事をしてほしい』という思いが込められています。僕は、人との『縁』を、とても大切にしています」
大津さんは、日本を代表する中国料理人のひとり脇屋友詞さんのレストラン「トゥーランドット臥龍居」に15年に務めた後、2018年3月、36歳で独立しました。
大津さんの師匠である脇屋さんは、1980年代に香港で起こった中国料理の革新運動「ヌーベルシノワ」(新しい中国料理)を日本に広めたパイオニアのひとり。ヌーベルシノワは、それまで伝統的な中国料理に多用されていた油脂の使用を減らし、素材本来の味わいをより活かした新しい中国料理を目指したものです。
O2は、5つの料理からなるおまかせコース(5000円)が中心(アラカルトもありますが、営業に余裕が出てきた遅くの時間のみ)。メニューには、軽くマリネしたブリとハッサク、ハーブなどのサラダや、春菊のシュウマイ、大浦ごぼうと中国ハムのスープなど、季節の素材がしっかりと中国料理の中に活かされています。「15年仕事をさせていただいて、やはり自分の料理には脇屋さんの料理の存在が大きいです」と、大津さん自身もその影響を認めます。
ブリとハッサクのサラダ。シーズニングスパイスと醤油、ライムのドレッシングで。
冬の葉物野菜の代表、シュンギクを餡に加えたシュウマイ。季節感のある食材を使った点心は、O2で味わいたいメニューのひとつだ。