旬の野菜と果物をおいしく使い切るアレンジレシピが評判
今回お伺いしたのは、千葉県浦安市にある料理教室「DECO HOUSE キッチン」。主宰の渡邉美穂さんは講師歴20年以上のベテランで、「旬を食べよう」をテーマに、季節の野菜や果物をおいしく丸ごと使い切る家庭料理を提案しています。
レッスンでは、「野菜料理のレパートリーを増やしたい」、「旬のある暮らしを楽しみたい」という生徒さんの声に応え、食材を置き換えながら一年を通して活躍する基本のレシピを中心に紹介しています。
この日は、「春を先取り!菜花と金柑deイタリアン」と題した洋食スタイルのレッスンを開催。旬の菜の花と金柑を使って、スープ、サラダ、メイン、デザートまで6品の料理を作ります。レッスンは実習重視の少人数制で、暦や旬の野菜の話を交えながら楽しく進めていきます。
「”春は苦味”と言われるように、旬の菜の花や金柑には独特のほろ苦さがあり、それがデトックスになります。みなさんも菜の花はおなじみだと思いますが、金柑は丸ごと食べるだけでなく、サラダやメインのおかずにも彩りと栄養化をプラスして、味を際立たせてくれるフルーツなんですよ」と渡邉さん。
生徒さんたちも金柑を使ったアレンジ料理に興味津々で、レシピの説明を聞きながら何度も感嘆の声を上げていました。
この日は料理教室の先生も参加する上級者メンバーだったため、生徒さんに作業を振り分けて実習を進めることに。渡邉さんのレシピは、少ない食材を使って前菜からデザートまでアレンジするため、最初に食材を切ってしまえば、あとは調理法を変えるだけで4~5品作れてしまうのが特徴です。
“おいしく丸ごと使い切る”というコンセプトのもと、野菜の皮や切れ端は煮込んで「ベジブロス」にします。
「おいしいベジブロスを作るには、セロリの葉とタマネギの皮を入れるのがポイント。さらに、ニンニクの皮も入れると旨味が出ます。日頃から保存袋にストックしておくと、コンソメいらずになりますよ」
おいしい法則に従って作ったベジブロスは、美しい黄金色に。たっぷり仕込んで、お米から作るリゾットやポタージュに使います。
レシピの中で、生徒さんたちが一番驚いたのは「金柑と里芋のティラミス」。レンジで蒸した里芋にマスカルポーネチーズとハチミツを加えて、チョコレートと金柑ソースをかけて味わうのですが、里芋と言われなければわからないほど、おいしいスイーツに姿を変えました。
レッスンでは、先生が旅先で見つけた”いいもの”を紹介してもらえるのも楽しみの一つで、この日は北海道で見つけた赤いハチミツが登場しました。
ティラミスに使った金柑ソースは、豚肉の菜花巻きにも活用。分厚く切った豚肉で、茹でた菜花と金柑ソースを巻き込み、バルサミコ酢をまぶします。
ここからラストスパート。温かい料理を最後に一気に仕上げるため、先生と生徒さんが連携を取りながら、豚肉の菜花巻き、リゾット、ポタージュを同時進行で調理。最後にシナモンリーフが香るチャイを仕上げて、2時間で6品の料理が出来上がりました。
手前から時計回りに、「ベジブロスで作る菜花と金柑のリゾット」、「金柑と里芋のティラミス」、「金柑と菜花のサラダ」、「シナモンチャイ」、「里芋とベジブロスのポタージュ」、「豚肉の菜花巻き バルサミコ金柑ソース」。少ない食材でも調理法を変えるだけで、バラエティに富んだ食卓になりました。
先生はどんな人?
もともとはライターとして、精力的に活動していた渡邉さん。お子さんのアトピーをきっかけに食の大切さを実感し、食にまつわる仕事にシフトしていくなかで「おいしくて安全なものを正しく伝えたい」という思いを募らせていきました。
「ライターの仕事を通じて、多くの生産者さんとお会いするうちに、全国にはまだまだ知られていない安全でいいものがたくさんあることに気付かされました。そして、どうしたらそれを正しく伝えられるかを考えた時、”おいしい”を形にできて、生産者さんの想いも届けられる料理教室やフードコーディネートの仕事が最適だと思い、料理の道へ進みました。食べ物は体を育むだけでなく、心も育む不思議な力を持っています。単に料理を覚えたいだけなら、今はネットで調べられるので、食べること・食べる物を作ることと誠実に向き合う人たちをつないで、人生を楽しく健康に過ごすお手伝いをしていきたいです」