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「KAI FOOD MEET UP~トップシェフから学ぶ、海藻のある未来の食卓~」イベントレポート

2024年10月18日

2024年9月10日、東京・秋葉原にある貝印株式会社のKai Houseにて、Kai House Club所属の料理家向けにイベントを開催しました。
今回のイベントは「KAI FOOD MEET UP~トップシェフから学ぶ、海藻のある未来の食卓~」と題し、養殖による海藻の生産販売を手がける「合同会社シーベジタブル」と、水産資源の未来を考えるシェフ集団「Chefs for the Blue」にも参加している東京・北参道のフレンチレストラン「sincère(シンシア)」の石井真介シェフをゲストに迎え、海や海藻の実情と、解決手段としての料理や食卓での普及について、一緒に学び考える目的で行われました。

はじめに、シーベジタブルとのつながりを生んだ、貝印の食に関する取り組みを紹介。これからの食と農を考える「めぐるめくプロジェクト」での活動をはじめ、食材の過剰除去による食品ロス問題解決を提案したWEBサイト「やさしい切りかた事典」、包丁の研ぎ直しサービスなど、サステナビリティの実現に向けた取り組みにも力を入れています。
また、シーベジタブルの海藻を使った取り組みとしては、伊勢丹新宿店の食品フロアで展開している有名シェフのレシピが楽しめるレストラン「キッチンステージ」にて、本イベントでお出しした「sincère(シンシア)」の石井シェフによる海藻を使ったフランス料理の提供や、食材付きオンライン料理教室「Chefon(シェフォン)」では、ミシュラン星付きレストラン「レストラン ナベノ-イズム」の渡辺雄一郎シェフによる海藻を使ったレシピ提供という形で広く展開しています。(いずれも期間限定につき現在は終了)

この日、プレゼンターの一人としてまずご登壇いただいたのは、「合同会社シーベジタブル」共同代表の友廣裕一さん。シーベジタブルは、温暖化の影響で減少している海藻を陸上と海面で栽培し、海藻の新たな食べ方や活用法の開発・提案に取り組んでいる会社です。

「日本の海域には約1500種類の海藻が生息しています。また、日本は世界で最も海藻を食べている国でもありますが、それでも、ほとんどの方は生涯で食べる海藻は10~20種類ほど。国内で見れば約50種類の海藻が食されていますが、日本の海藻は毒がないので、食材としてのポテンシャルを持つ海藻が、日本にはまだ1400種類以上も眠っているのです」

導入から惹き付けられるお話が続くなか、「海藻は太陽光と海の栄養だけで育つので、化石燃料、農薬、肥料が一切要らない」「海苔は大豆より多くのタンパク質を含んでいる」という話になると、多くの方がメモを取りながら聞き入っていました。

参加者のみなさまには、実際にシーベジタブルの海藻を試食していただきました。とさかのり(紅色)、すじあおのり(緑色)、若ひじき(茶色)の3種類の海藻をなにもつけずに召し上がっていただくと、「そのままでも十分おいしい」という声が上がり、友廣さんも手応えを感じた様子でした。

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撮影/田尻陽子  取材・文/田辺千菊