
相手に与える印象と自らの健康維持、両面で大切な「ボディメイク」
加藤さんが担当する顧客の中には有名なシェフも多く、皆さん熱心にトレーニングに取り組んでいるといいます。料理家にとって、ボディメイクはそれほど重要なことなのでしょうか?
「かつては、例えば中華料理の料理人やパン職人などは、少々太っている方がなんとなく料理や商品が美味しそう……、というようなイメージもありました。しかし、近年は“提供している料理を食べると太ってしまうんじゃないか?”と、ネガティブに思われてしまうこともあります。SNSの発達で、どんな職業の人も“外見のイメージ”で判断されがちになり、美味しそう、健康になれそう、確かな情報を伝えてくれそう……という“見た目がもたらす印象”が、ビジネスの現場でも重要になってきたのだと思います」
また健康への関心が高まってきたことで、料理家自身もボディメンテナンスの重要性を理解する人が増えてきたのではないか、とも。
「実際、料理家の多くは狭いキッチンで一日中立ち仕事をしています。重い鍋を振り続けていたり、料理に細かいデコレーションを施したり、硬い食材を体重を使って切ったりと、足腰だけでなく、首、肩、腕にもかなりの負担がかかっていることでしょう。調理台の高さもその方に合わせて作ったものでなければ、肩が上がったり、逆に猫背になったりと、無理な姿勢を続けている方がほとんどだと思います」。
そんな無理をし続ける身体を放置せず、毎日高いパフォーマンス力で仕事を続けるためにも、実はストレッチや筋トレなどの体作りはとても大事だというのです。
姿勢が悪いと肌がくすみ、自信のない印象になる
では、運動をせずにいると具体的にはどんな問題が起きるのでしょうか。
「背中が丸まっていると、自信がなさそうに見えたり、覇気のない印象を周りに与えてしまいます。また丸まった姿勢でいることによって脇のリンパが詰まると血流が悪くなり、顔色もくすんで、これも元気のない、不健康で老けた印象になってしまうのです」。
これらを解消するのがストレッチや運動だと言います。
また、癖や歪みだけでなく、加齢や運動不足に伴う筋肉そのものの衰えにも対策が必要、と加藤さん。
「アウターマッスルが衰えれば、フライパンを振ったり重い食材を持ち上げたりする力が出せなくなりますし、インナーマッスルが衰えれば、同じ姿勢でまっすぐ立ち続ける、というようなことができなくなり、キッチンに立っていても疲れたり、バランスを崩しやすくなったりすることも。また背中の筋肉が衰えれば肩が上がって首が短くなり、これも自信のない印象へとつながります。逆に胸がすっと開き、首が伸びて、まっすぐ立てていれば、それだけですがすがしい好印象になりますよ」