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YouTube料理動画成功の秘訣

スキルアップ
2018年12月10日

個人の販促・集客ツールとして避けて通ることのできないSNSやネットの世界。なかでも、料理のおいしそうな感じや手順を伝える上で動画という手法はぜひとも取り入れたいもの。でも素人でも上手にできるのでしょうか? You Tubeで番組を立ち上げ、各方面で人気の料理家YOSHIROさんに、動画を始めるまでの過程やコツ、動画を配信する意味について伺いました。

「料理家」というビジネスを成功させるためのコンセプト作り

YOSHIRO
5年前に料理家として独立して以来、著書・関連本含め10冊以上発刊、料理教室を主宰しつつ、雑誌やテレビ出演、企業とのコラボやレシピ提供、政府に協力して海外に日本の食文化を発信するなど、幅広く活躍しているYOSHIROさん。短期間でここまで成果を出せた理由は、実力はもちろんのこと、ビジネスを成功させるために多くの努力を惜しまず続けてきたからでもあります。
もともと父親が飲食店を営んでいたことから、食への関心が深かったYOSHIROさんは、食品メーカー勤務を経て父の飲食店で修業。「店に足を運んでくださる方だけでなく、さらにもっと多くの人に食の魅力を伝えられたら!」と思い立ち、料理家・フードコーディネイターの道を目指したといいます。フードコーディネイターの専門学校に通って、料理家としての道をスタート。まずはブックを作って出版社各社に送りつつ、常に自分でも持ち歩いて、会う人ごとに『何かあればご用命ください』と配布していました。さらに実績を積むべく、料理教室も開始。
「最初は友人に声をかけて人集め。料理教室を本業に、という考えではなかったのですが、教えることはアウトプットの方法を学ぶ貴重な場になりました」
さらに当時を分析してこう話します。
「20代の男性料理家ということ自体で多少の物珍しさはあり、父の店で修業を続けることもできた。また自分自身がのめり込んでいるトライアスロンでそれなりの戦績も出しているので、スポーツとリンクさせての体作り、健康管理のための食という視点も持っていました。それらを組み合わせて、うまく独自性を出せないだろうかと思っていましたね」
単に好きなことをやるだけでなく、市場の需要と共有のバランスを見ながら自分自身をコンテンツとしてどう打ち出すかということを、当初から考えていたというのです。
料理教室もただの教室ではありません。
「お金を払って足を運んでもらう以上、いただく金額以上の価値を提供したい。そのためには他にはないサービスであることも重要です。当時は和食の料理教室自体それほど多くなかったのですが、その中でも魚をおろす教室はわずかで、あっても1レッスンで1~2尾をおろす程度でした。そこで “日本一魚をおろせる料理教室”というキャッチコピーで始めたんです」

You Tubeのコンセプトは「Webで通える料理教室」

YOSHIRO
自ら足を運んで営業し、戦略的な料理教室も継続。その甲斐あって、ほどなく様々なメディアで取り上げられるようになりましたが、料理家として自らをビジネスの軌道にのせるためには、現状の料理教室を続けているだけではダメだと考えたYOSHIROさん。

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

話を聞いた人 料理家 YOSHIROさん
1988年神奈川県生まれ。和食料理人である父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。調理師免許、きき酒師、ソムリエ(ANSA)、ジュニア野菜ソムリエなど食に関する資格を有し、きき酒師の上位資格である日本酒学講師を史上最年少で合格。素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアン、オーガニックと幅広いジャンルを得意とする。2015年からは農林水産省・JICAの共催事業にも参画し、国内外で日本食・食文化を発信している。スポーツをこよなく愛し、2016年6月に行われたトライアスロンの大会では年代別準優勝。「食× スポーツ」を普及する活動も精力的に行っている。