貿易商 シャンカール・ノグチさん

インタビュー

料理人をはじめ、料理にまつわるスタイリストやフードコーディネーター、カメラマンなど、食を支えるクリエイターのインタビューをお届けする連載。料理への向き合い方、仕事観、読者のスキルアップのためのノウハウなど、食を支え、未来を描こうとする様々な職種の方々の料理に対する考えや思いを語ってもらいます。

2020年11月19日

「得意なこと」からコラボレーションは始まる

東京・恵比寿にあるテイクアウト惣菜店「take CURRY」は、惣菜チェーン「まつおか」が2019年に開いたスパイス惣菜とカレーの店。ノグチさんは、この店のスパイス監修を務めています。さらには、雑誌『オレンジページ』が運営する体験型キッチンスタジオ「コトラボ」で、料理講師としても人気料理研究家とともに名前を連ね、豪州産羊肉の生産者団体MLAからはスパイスではなくラム肉のPR大使「Lambassador」に任命されるなど、活動の幅を広げていきます。

「僕は、貿易商で調香師ですよ」と笑うノグチさんですが、なぜたくさんの人が「仕事を頼みたくなる」のでしょうか。「スパイスには人との出会い、交友の輪を広げる力があると信じている」と、ノグチさんはいいます。

「カレーには、その場の雰囲気に応じて変えていけるような即興性もあります。たとえば、食事が進むごとにその場の雰囲気が盛り上がっていれば、さらに盛り上がるようにチリ(トウガラシ)を利かしたり、逆にカレーが雰囲気にゆっくりと溶け込むように、スパイスを使ったりもできます。どんな雰囲気にしたいか、どう関わり合いたいかによって、スパイスで場を演出することもできるんです」

たとえば、料理家同士がコラボレーションした料理会をすることも一つの方法だとノグチさんはいいます。その場合は、和食とベトナム料理や、スイーツとパスタなど、お互いの得意な料理ジャンルが離れていることが大切です。食事のコースを考えるなかで、さまざまな条件に対応できるスキルが身に付くからです。

「ただし、コラボするならコンセプトが必要です。話し合ったうえでお互いが輝くステージを作っていく。そして、その時には必ず『自分の得意は何か』を探すことになります。最初は特技でいいんです。これは人に負けないというもの、自分の得意を見つけることが、コラボを進める第一歩になると思います」

自分の得意なことが、名刺代わりになって人との出会いを作る。スパイスに特化したノグチさんの活動がそのことを証明しています。

ノグチさんが好きなカレーのひとつが「バターチキンカレー」。食事会やイベントで何度も作ってきたそうです。

スパイスを砕くためには、重くて頑丈であることが重要なため、ノグチさんは真鍮製のスパイスクラッシャーを使っています。

愛用のスパイスボックス。左のボックスには「インドアメリカン貿易商会」のスパイスブランド「スピンフーズ」の新商品で、太田哲雄さんのアマゾンカカオを使った「アマゾンチャイ」を試作するためのシナモンやグリーンカルダモン、クローブなどが配備されていました。

 

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撮影/大平正美 取材・文/江六前一郎

シャンカール・ノグチさん

1973年、東京都生まれ。アメリカ留学後、インド・パンジャブ地方出身の祖父L.R.ミグラニ氏が立ち上げたインドアメリカン貿易商会の三代目として、インド国内の市場を巡りつつインド食品の輸入やオリジナル商品の開発と販売を手がける。その傍ら、日印混合料理集団「東京スパイス番長」や「カレー将軍」のメンバーとしてインド料理のレシピ開発に携わるなど活躍の場は多岐にわたる。2016年には、豪州産羊肉の生産者団体MLAよりラムPR大使「Lambassador」に任命された。著書に『スパイスの世界へようこそ』『増補改訂 ハーブ&スパイス事典:心とカラダにやさしい316種』など。
シャンカールのスパイス情報サイト http://www.spice.tokyo
スピンフーズのスパイスECサイト http://www.spinfoods.net

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