
お店の入り口を照らす、看板がわりの小さなランプ。「A TABLE」には「ごはんですよ!」という意味もあります。
『HITOTEMAのひとてま』には、これまで提供してきた料理のなかから、100回以上出しているという「長芋のグラタン」、1年中作っている得意料理「HITOTEMA麻婆豆腐」、母のレシピを引き継ぐ「いくらご飯」に、季節の食材をシンプルに味わうレシピなど「現代版のおふくろ料理」が載っています。
「選ぶ食材は手に入りやすいもので、調理の過程もシンプルです。レストランのシェフの料理とは違って、お母さんが家で作るものって、『体にいいからこれも食べなさい』と、苦手な食材も組み込まれていたりするじゃないですか。料理本を完成させたことで、自分のやっていることはレストランビジネスというよりも自分自身の表現活動に近いんだな、私が作りたい、食べさせたい、広めていきたいのは、この『日本のおかん魂』なんだな、ということがクリアになりました」
「息子が4歳になって抱っこが少なくなったので、アクセサリーもつけられるようになりました」と話す谷尻さん。
お任せコースの最初に登場することも多い自家製コーラ。スーパーフードやスパイスで作られます。
大好きな金継ぎを日常使いに。「HITOTEMA」で金継ぎワークショップを開催することもあります。
信頼できる人のアドバイスを大切に
料理人として店を持ち、料理本を出版。この秋にはキッチンスタジオをスタートする予定だという谷尻さん。夢を形にする秘訣をうかがったところ「自分を知ってくれている人にアドバイスやヒントをもらうこと。センスが合うな、と思う相手であれば、有名か無名かは関係ないし、大切なのは自分の料理を食べてくれて、人となりを知ってくれている人の意見だと思うんです。逆に、あまり近しい関係じゃない人には、自分がどんな人間なのかをプレゼンしたうえで相談するという手もあります。自分が何をしたいか、どんなことを考えているかを明確にしたら、失敗してもいいくらいの気持ちで行動を起こす。チャレンジすることが大切だと思います」