
昨年秋のオープン以来、料理ライターや料理家など料理を生業とする人たちで予約がいっぱいと評判の東京・目黒の「Kabi」。国内外の星付きレストランで修行を重ねた安田翔平シェフが、日本の伝統的な技法『発酵』を使って生み出す独創的かつ斬新な料理が高い注目を集めています。「発酵の魅力は味が複雑になること。ここでは味噌やぬか漬け、魚醤などの発酵食品を『日本料理』と呼び、発酵させた食材を複数のパーツとして構成して、料理に深みや奥行きを与えています。パウダーも多用していて、口に入れるとそのパウダーが最初に舌にあたり、噛むと食材の味がして、発酵したジュースのソースが口のなかに広がる。ひと口で3~4つくらいのアタックがあります」と安田シェフ。
また、ドリンクペアリングを担当するソムリエの江本賢太郎さんは、「日本には世界に誇れるカクテル文化があって、ハードリカーも作られている。だから、ワインに限定せず、日本酒、カクテル、ハードリカーが必ず含まれるように構成し、新たな日本のドリンク文化を提案しています」と話します。
料理はもちろん、インテリアや器選びに至るまで、食に興味がある人が集まるお店になることを意識したという安田シェフと江本さん。訪れたことを誰かに語りたくなる仕掛けが満載で、食欲も知的好奇心も満たされることでしょう。