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モダンな一軒家レストラン マルタ

レストラン
2018年11月2日

レストランでゲストを待ち受けるものは、おいしい料理だけではありません。食のトレンドや注目の食材、新たなドリンクスタイルや、時には社会問題を提起するような料理に出合うことも。今月は、東京郊外にありながら独自スタイルと斬新な料理、それらを包み込むような温かいもてなしで話題を集めるモダンな一軒家レストランを紹介します。

オーストラリアンスタイルに東京の旬を詰め込んで


そのレストランがある場所は東京・調布、深大寺のすぐそば。国宝の仏像を有する古い神社は古くから蕎麦の名所として知られ、字は異なるもののこれまたバラの名所として知られる「神大植物園」も目と鼻の先にあります。周りは静かな住宅地で、ところどころにまだ野畑も存在するのどかな東京の郊外は、逆に言えば駅からも遠くちょっと不便なデスティネーション。にもかかわらず、2018年初夏のオープン以来、自然派のガストロノミー愛好者たちから熱烈な支持を集めるレストラン「マルタ」は、まさに新しい試みがたっぷりと詰まった“マストGO”な店です。
このレストランの魅力を挙げるなら、まずは店の中央に位置する大きな薪火のオーブンがその象徴的な存在です。店名の由来ともなった丸太が季節を問わず常にくべられて赤々と炎をあげており、炎の上で、肉、魚、野菜、フルーツ……と、さまざまな食材が瞬く間においしそうな香りを放ちながら料理へと変身していく様を、ゲストは食事しながら目の前に眺めることができます。薪火の前の特等席のような調理場を常に陣取っているのは、店を率いるシェフの石松一樹さん(写真下、左から3人目)。オーブンがあるエリアの反対側には広々としたオープンキッチンの厨房があるものの、シェフの定位置はほぼ変わることなく薪火の前だといいます。
「初めての夏が記録的な猛暑で、店内の空調をどれほどクールに保っていても、薪火の前だけは常に汗が噴き出る暑さでした。けれど、この焼き場はこの店のいちばんのセールスポイントですから、へたばっている場合ではありません。摘み立てのハーブで即座に燻製する根菜や、脂をぽとぽとと落としながら徐々に焼き上がっていく鴨など、うちでしか味わっていただくことの出来ないダイナミックな料理と時間が、マルタの身上なんです」

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撮影/柳詰有香

Maruta(マルタ)の詳細情報

店名 Maruta(マルタ)
電話番号 042-444-3511
URL https://www.maruta.green/
住所
東京都調布市深大寺北町1−20-1
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営業時間 ランチ12:00 〜 15:00 土 日 祝日のみ(ラストオーダー 13:00 )、ディナー(一部)18:00~ ドアオープン /18:30~ 料理スタート、ディナー(二部)19:00~ ドアオープン /19:30~ 料理スタート
ジャンル イノベーティブ

シェフの紹介
石松 一樹(イシマツ カズキ)さん
1988年、東京都府中市生まれ。都内フレンチレストラン等で勤務したのち、渡豪。メルボルン「Brae」に勤務する。帰国後、2018年6月より「Maruta」シェフに就任。店オープン後も、青梅や新島など、東京近辺の知られざるおいしい食材を探しに休日も奔走する日々。