「茶禅華 (サゼンカ)」研ぎ澄まされた日本料理の感覚を、中国料理で表現

さまざまな料理がグローバル化し、和食、中華、フレンチ、イタリアンといった従来のジャンルにカテゴライズすることができない独自のスタイルを貫くレストランが増えています。今月は、かつて先人たちが中国から伝わったお茶と禅を昇華させたように、中国料理の大胆な旨さと日本料理の滋味深い味わいを掛け合わせた、美しい中国料理を表現するシェフのお店を訪ねました。

2018年10月5日

食材の声を聞き、対話を繰り返して生み出す新しい中国料理

東京・南麻布の有栖川宮記念公園からほど近い、閑静な住宅街にある中国料理店「茶禅華 (サゼンカ)」。中国料理と日本料理の名店で研鑽を積んだシェフの川田智也さんが、元欧州大使公邸を改装したシックで趣のある一軒家で腕をふるっています。川田シェフがテーマに掲げる「和魂漢才」とは、中国伝来の学問や知識を、日本人固有の思想や精神をもって学び、独自の文化として成すこと。小学校入学前には中国料理人を志し、「麻布長江」でキャリアをスタート、中国料理を極めるために「日本料理龍吟」で日本料理を学び、この「和魂漢才」の思想に導かれました。

「修業時代に何度も中国に足を運び、そこで得た素晴らしい技術や知識をそのまま表現して料理してもなぜかうまくいかないものもありました。その頃の僕は日本の食材の声を聞かず、一生懸命中国語のみで食材に話しかけていたんです。だからうまくいかない。そこで、生涯をかけて日本で中華料理をやっていくには、日本の食材の声を聴くことに関して最高峰である日本料理を学ぶべきだと、門を叩いたのが『日本料理龍吟』でした。料理の心を教わるなか、暦や禅、器、お茶など、日本には中国から伝来してきた文化や習わしが数多く存在することを知り、日本でしかできない中華料理を作りたいと考えるようになりました」

日本料理を学ぶ過程で、滋味を深く感じられるようになり、料理に繊細さが生まれたと話す川田シェフ。今では作る料理によって頭を切り替え、四川料理を作るときは豪快に、広東料理のような優しい味を作るときは繊細にと、別人になる感覚で調理しているそうです。

「よく『料理の垣根はなくなった』といいますが、その垣根はしっかり作るべきだと僕は思います。それぞれの国の料理は根っこの部分でつながっていますが、それを理解したうえで垣根を越えたものが、その人の料理と呼べるかなと。僕にはまだその垣根はあって、中国の食材を使って中国本土で作る『中国料理』に対して、中国から本質的なものを輸入して日本の食材と調和させて作る僕の料理は『中華料理』。そんな僕の中華料理が壮大な歴史を持つ中国料理に少しでも近づいけていけたらと思っています」

細部まで行き渡るこだわりを、シンプルなアプローチで見せる

単音をつなげ、最終的にきれいなメロディに仕上げる感覚で生み出しているという「季節の食材のおまかせコース」は約15皿で¥20,000~23,000。「最高峰の中国料理があまり複雑でないように、一皿に盛る食材はおおよそ2~3品で多くても4品程度。油絵のような西洋料理に対して、中国料理は水墨画の世界です。複雑にする技術とシンプルに仕上げる技術、そのどちらにも魅力はありますが、中国料理の白と黒の水墨画の世界に少し洗練を加えるのが日本人は得意ですね。そんな研ぎ澄まされた日本料理の感覚を、中国料理で表現したいというのが僕の料理です」

コースの一品目の「青山緑水」は、台湾の郷土料理・茶油素麺が原型。玉露のだしに、極細の奈良の三輪(白髪)素麺を浮かべ、四川の青山緑水、京都の玉露のという2種類のお茶から搾ってできた色鮮やかな緑の油を垂らしています。夏は冷たく、冬は温かくして提供。「本来の中国料理では前菜を『開胃菜』といって胃を開くために味のついていない野菜が出てきたりする。そのイメージで、メインに向けて徐々に盛り上げていきます」

メインの「紅焼魚翅」は、ねぎ焼きフカヒレ。山東省で食されている中国しょうゆとカラメルで煮込んだナマコをフカヒレに変え、肉厚なフカヒレにうま味をたっぷりしみ込ませた贅沢な一皿です。

台湾の東方美人茶でナツメを炊き、ナツメ本来の甘みだけで仕上げた水ようかん「棗羊羹」。医食同源に基づき、造血作用や整腸作用があるナツメをよりヘルシーに味わうため、砂糖は不使用。中心にコニャック、右端にはオレンジピールを忍ばせ、左から3口で食べるとそれぞれ違った味が楽しめる手の込んだデザートです。

ドリンクは、アルコールペアリング¥9,000~13,000、ティーペアリング¥6,000~8,000、この2つを織り交ぜたお酒とお茶のミックスペアリング¥8,000~13,000から選べます。茶禅華オリジナルのティーペアリングは、力強い中国茶、女性的でエレガントな台湾茶、そして日本茶をストーリー仕立てで提供。緑、白、黄、青、赤(紅)、黒の6段階の発酵茶が存在する中国茶の奥深い世界に触れてください。

レストラン名の詳細情報

店名 茶禅華(サゼンカ)
電話番号 03-6874-0970
URL http://sazenka.com/
住所 東京都港区南麻布4-7-5Google Mapで確認
ジャンル 中華

撮影/平松唯加子  取材・文/江原裕子

シェフの紹介
川田 智也(カワダ トモヤ)さん
1982年、栃木県生まれ。2000年、東京調理師専門学校中国料理専科在学中に中国料理「麻布長江」にアルバイトとして入店。2002年の卒業と同時に入社。10年間の研鑽を同店にて積む。2011年、日本食材を活かす技術を学ぶため「日本料理龍吟」に入社。2013年には台湾店「祥雲龍吟」の立ち上げに参加し、副料理長に就任。帰国後、準備期間を経て2017年2月に東京・南麻布「茶禅華」をオープン。


料理教室のイロハ

料理教室を開きたいと思ったら?

料理教室ってどんなところ?

array(5) { [0]=> int(1914) [1]=> int(502) [2]=> int(5354) [3]=> int(3768) [4]=> int(2306) }

人気の記事Pick Up Topics

SHIORIさんに教わる「ファラフェル」レシピ【ちまたで話題の料理にトライ!】

ぎせい豆腐【プロに教わる逸品レシピ~Kai House Club料理家編】

萌え断の極み!「フルーツサンド」【ちまたで話題の料理にトライ!】

第1回・シュークルート【プロに教わる逸品レシピ 「ブラッスリー ジョンティ」】

病みつき必至!「わたしだけのカレー チキン(簡略版)」【ちまたで話題の料理にトライ!】

話題のキーワードHot Keyword

新着の記事New Topics

アロマフレスカ原田シェフ まかないレシピ

アロマフレスカ原田シェフ 旬のレシピ

Edition Koji Shimomura(エディション・コウジ シモムラ)オーナーシェフ 下村浩司さん【私の駆け出し時代】

旅するように味わう 個性豊かなイタリア郷土料理の世界

第6回・シメサバのミキュイ 焼きなすソース、フランボワーズ和え 【プロに教わる逸品レシピ「Calme(カルム)」植松裕喜シェフ】

料理家のコンシェルジュKai House Club

料理家のコンシェルジュKai House Club
  • 会員限定のイベントやセミナーに参加できる
  • 貝印のキッチン用品を特別価格で購入できる
  • 貝印製品のモニター体験ができる
and more...