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コンテンツ編集者視点のレシピ開発方法

スキルアップ
2020年02月13日
いま、飲食業界には、テクノロジーの進化によって様々な変化が訪れています。料理を取り巻く最新の動向にくまなくアンテナを張ることは、時流を捉え活躍する料理家への近道です。本連載では、情報発信ツールの活用法やレシピ開発、料理教室運営方法のノウハウなどをお伝えしていきます。調理技術を磨くと同時に、情報をアップデートし、“できる料理家”を目指しましょう。

第三回はレシピ開発について。誰が見ても「美味しそう」「作ってみたい!」と思うレシピの開発に定評がある、橋本彩さんにお話を伺いました。

橋本彩さんは料理系メディアの運営会社でレシピ開発や調理の撮影に携わった後、料理家として独立。自らを“ぽんこつ主婦”と称し、これまでの経験を生かしたコンテンツ編集者の視点で、お酒と白ご飯が進む簡単で美味しい料理をインスタグラムで発信しています。去年12月からは自宅でマンツーマンの料理教室を開始し、活躍の場を広げています。

橋本さんの料理は、とにかく簡単!

「最初は見栄えがするおしゃれな料理を作っていたこともあったんです。時間をかけた煮込み料理とか、いい食材を使ってカルパッチョを作ったりとか。でも、主人に喜ばれるのはあり合わせの材料でさっと作ったものばかり。だったら、簡単に美味しいものを作れるのが一番だなと思って、今のスタイルになりました」


「レシピを考えるときは、もちろん生みの苦しみもありますが、すごく楽しいですね。1日3レシピくらい考えています」と橋本さん。

 

挫折経験から気づいた、ロジカルなレシピ開発方法

読者に作ってみたいと思わせるレシピは、料理家として独立する前に働いていた料理系メディアでの経験が生きているといいます。「当時は挫折の連続でした。再生数でどのレシピが人気なのかすぐに結果が出るのですが、自分が美味しいと思って出したレシピが、世に出ると全然受け入れられない。ナンプラーが家にない、組み合わせが想像できないから作ってもらえない・・・。独りよがりだった自分の美味しいに気づかされました」

しかしこの挫折が、橋本さんらしい料理を生み出すきっかけになりました。あまり料理をしない人にいかに作ってもらえるかをテーマに方向転換したところ、反応が違ってきたそう。「明太子ってみんな好きなんだなとか、チーズはとろ〜りさせたほうが作ってみたくなるんだなとか、読者に受け入れられるレシピがわかってきたんです」

珍しい素材の組み合わせではなく、誰が見ても美味しそうと思ってもらえるレシピにすることが、橋本さんのセオリーです。「組み合わせる素材は、どこかで食べたことある定番のもので、作る前から絶対美味しいとわかるものにしています。例えば、海苔と卵のコロッケはふりかけで人気の「のりたま」からイメージして。よく合わせているささみとわさびのコンビは居酒屋の串焼きから。ささみでチキン南蛮を作ったらタルタルソースにわさびを加えて和風にして…など、連想ゲームみたいな感じで考えていきます。

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撮影/田尻陽子 取材・文/岡井美絹子

橋本彩

料理家、インスタグラマーとして、雑誌やWebを中心に活動中。日々の料理を投稿したInstagram(@ ponkotsu_0141)のフォロワー数は40,000人超え。実用的で簡単、SNS映えするレシピを得意とする。
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