「海老とヤマノイモのビスク風」には、特に下半身の冷えを改善してくれる海老を殻ごと使用。海老の殻はダシパックに入れ、むき身と野菜と一緒に煮込み、最後に殻をへらで潰してしっかり濾すことで、濃厚な味わいに仕上がります。
レッスンの途中には、「舌診(ぜっしん)」の時間を設けて、スマートフォンのカメラを使って自分の舌をチェック。桜より濃い色を基準に、白っぽいと体が冷えている、赤みが強いと体内に熱がこもっている、舌の側面に歯の痕が付いていたらむくんでいるなど、日々の体調管理に役立つ豆知識を教えてもらいました。
料理が仕上がったら、プレートにメインディッシュの「チキンのソテー温果実と蜂蜜のソース」(手前)と「海老とヤマノイモのビスク風」(左上)を盛り付け、プレートの左には「腎を労わるナッツのフォカッチャ」を。お酒は胃の働きを活性化させるため、いつもスパークリングワインにフルーツを合わせた食前酒を合わせます。
先生はどんな人?
レストランなどの店舗開発を手がける会社に勤めた後、憧れていたフードコーディネーターになる夢を叶えた田中奈津子さん。ところが、30代半ばで甲状腺がんを患い、闘病の末、寛解を果たしますが生活は一変。「もっと体に気を付けていれば・・・」と自責の念に苛まれる日々でしたが、“自分の体をしっかり立て直そう”と一念発起し、さまざまな健康法や食事法を模索した結果、薬膳にたどり着きます。
「薬膳を学んでいくと、体からのSOSのサインがわかるようになり、体調に合わせた食材をおいしく食べるだけで、体質が改善されていく楽しさがありました。薬膳は“難しそう”とか“クセがありそう”というイメージがあるかも知れませんが、薬と違っておいしいことが大前提。また、薬膳は中国料理に限らず、食材の組み合わせ方を学べば、世界中のどんな料理にもアレンジすることができて、日々の食事に取り入れやすいことも魅力です」
薬膳を暮らしに取り入れて10年が経った今、病の再発もなく、忙しく働いていた頃よりずっと健康になったという田中さん。レッスンでは、こうした自身の実体験を交えながら、『35歳からの美薬膳』をコンセプトに、薬膳を楽しく学びながら体を調えていくレシピや暮らし方を伝えています。
「薬膳は頑張って作るものではなく、無理せず、少しずつ暮らしに取り入れて、長く続けていくことがとても大切です。手に入りやすい食材を中心に、手軽でおいしい薬膳を提案して、女性の健康と美を調えるお手伝いができたら嬉しいです」