
「キノコの豆豉炒め」に使うエリンギとシメジは、食感を楽しめるようレンジで加熱してからさっと炒めます。「キノコをレンジで加熱する際、ラップをしていませんか?実はラップをするとくたくたになってしまうので、おいしい食感を残すなら”ラップなし”で加熱してくださいね」と、おいしくなって時短にもつながる豆知識も参考になります。
料理が完成したら、テーブルに移動して器に盛り付けます。まず、先生がお手本を見せてから生徒さん各自で盛り付けを行い、セッティングが終わったら撮影タイムに入ります。依藤さんは撮影にも余念がなく、椅子を使って目線より高い位置からテーブル全体を見渡す方法を教えてもらうなど、生徒さんたちも新たな発見があった様子でした。
手前のプレート奥から時計回りに、「鱧の香味ソース」「にんじんとカボチャのサラダ」「手羽中の油淋鶏」「豚しゃぶの雲白肉」「冬瓜とリンゴのサラダ」。小皿は「ナスと椎茸の花椒炒め」と「キノコの豆豉炒め」、デザートは「揚げないヘルシーゴマ団子」と「いちじくと桂花陳酒のスパイシージュレ」、ドリンクは「ジャスミン茶とマンゴーのカクテル」の計10品。発酵調味料の「中華麹」と「花椒麹」を合わせると計12品も学ぶことができ、生徒さんたちも大満足でした。
先生はどんな人?
高校生の頃から料理人になるのが夢だったという依藤亜弓さん。高校卒業後は調理学校への進学を希望していましたが、高校の先生の勧めで大学へ進学。指導教官との出会いにも恵まれたことで大学院へ進み、調理学校へ入学しました。
調理学校卒業後は、慕っていた料理人に「和食とフレンチができたら世界中の料理ができる」と言われ、助言通り、最初にフランス料理店、次に和食店で働いて、実践的な技術を培っていきました。
料理人になる夢を叶えた依藤さんでしたが、「結婚生活や子育てをしながら一生料理に携わっていきたい」と考えるようになり、自宅で料理教室を開講することに。
レッスンでは、調理理論に加えて、料理人時代に培った実践的な技術を盛り込んだ基本クラスと、もうひとつは「地中海式食事法」をベースに、発酵やスパイスを取り入れたクラス「tu.du.ku.」という、コンセプトの異なるレッスンを開講しています。
「”痩せる”ではなく”太らない”という体質に改善する食事法に感銘を受けて、そこから20年以上実践しています。”これを食べてはいけない”という禁止事項がないのでストレスフリーで、そのおかげ長く続けられているので、ライフワークとして広めていきたいです」
地中海式食事法に興味を持ち始めたのと同時期に、依藤さんは発酵食にも開眼。きっかけは、体調がすこぶる悪かった時期に、嫌いなはずの納豆が食べたくなり、「これは体からのSOSだ」と思って食べてみたところ、体調がよくなったという実体験からだそう。
「レシピは料理の“目安”に過ぎません。誰にも聞けない料理の基本や、正しい包丁使いが身につけば、レシピに頼りっぱなしから卒業できます。食を楽しみながら体質を改善して、心も体も健康でいられるお手伝いをしていきたいですね」。