包丁の砥ぎ方ひとつで、見た目も味も変わる!
どんな職人でも道具を大切に扱うことはプロとして必須の心構えといえますが、料理における包丁というのは、料理家の皆さんにとっては“手”そのものといってもいいほど、重要なアイテム。切れ味の違いは、食材の見た目の仕上がりの違いや生徒の前で調理プレゼンを行う際の効果、ひいては作業効率にも影響することは想像に難くありませんが、さらに、味や料理の見た目までも変わってくるというから注意したいものです。現に、慶應義塾大学理工学部から誕生したというベンチャー企業「AISSY」が実施した調査では、切れ味の悪い包丁で切ることで、ピーマンは苦みや酸味がアップし、トマトは旨みや甘みが損なわれるという結果が報告されています。
そこで今回、「Kai House Club」では会員の料理家に向けて「包丁砥ぎ講座」を企画。貝印の社員であり、初代包丁マイスターとして後進の育成に努めるとともに、国内外でも活躍を続ける“包丁達人”の林泰彦さんに、座学での講義とデモンストレーション、そして実際に一人一人が包丁を砥ぎ、林さんから指導を受けるという実習の3パートで、一日で包丁砥ぎの上級者になれる贅沢なレッスンが行われました。
今回の参加者は全員、プロフェッショナルの料理家。しかし「包丁砥ぎには自信があります」という人は少数派です。日頃は簡易な包丁シャープナーを使っているという人、包丁砥ぎのプロに任せているという人、自分で砥いでいるけれど本当にこれでいいのか自信がなかったという人など、タイプはさまざまです。かつて林さんの包丁砥ぎ講習を受けたことがあるけれど、復習とアップデートのために改めて参加したという熱心な方もいました。