
片面が砥ぎ終わったかなと思ったらもう一方の面に移りますが、そのとき砥いだことによって出る「バリ」「まくれ」「刃返り」などと呼ばれる、砥ぎカスのようなものがきちんと出ているかを指先で撫でながら確認するのも重要なポイントだそう。レクチャーは和やかに続けられます。
先端や手前の角の砥ぎ方もアドバイスした後、裏返してもう片面も「バリ」が出るまで砥ぎます。
「研ぎ石の上のドロドロは砥ぐ助けになるので水に流したりせず、乾いてきたら数滴、水を垂らしましょう」。
両面を研ぎ終わったら、“バリ”をきれいに取り除いて終了です。
「古新聞などでこそげ落とすことが大事です。朝刊1冊分くらいの厚さがあるといいですね。新聞がない場合は、漫画雑誌や着なくなったデニムの片足分くらいの厚さで砥ぐといいでしょう。柔らかい素材がおすすめです」
最後に実習タイムです。先ほど林さんが目の前で実演してくれた包丁砥ぎですが、いざ自分でやってみるとなかなか難しいもの。「角度がブレていないか、自分でよく感じてくださいね」「スピードより丁寧さが大事ですよ」などと一人一人にアドバイスし、指先で確認しながら砥ぎ加減をチェックして歩きます。林さんが来ると「自信がないです!」とヘルプサインを発信する人、よく砥げていると褒められて歓声を上げる方など、参加者は一様にたいへんな盛り上がりよう。最後におまけとして、片刃の和包丁の砥ぎ方も説明してくれました。
参加した皆さんは「今までこれでいいのかなと思いながらも自己流でやってきたのですが、正解がわかって安心しました」「過去に習ったことがあったけれど、忘れていたことや苦手だったことが確認できてよかったです」と、満足度の高いイベントになったようです。参加できなかった皆さんも、正しい砥ぎ方を身につければ、料理の腕が上がること間違いなしです。これまでの砥ぎ方を一度見直すためにも、次回の開催が待たれます。
「Kai House Club」会員限定セミナーでは、今後もすぐに役立つ実践的な企画を続々と計画中。料理教室を営んだり料理家として仕事をしていく上で必要な様々な情報や体験を、価値あるイベントやセミナーを通じてお届けしていきます。