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岩手県八幡平市「食と工芸の交流会」

イベント
2019年12月3日

貝印が運営するKai House Clubでは、岩手県八幡平市商工会と連携し、八幡平市食材の首都圏での販路を開拓する取り組みを2019年9月にスタートさせました。その集大成と言えるイベント、「食と工芸の交流会」が2019年11月8日、貝印本社(東京都千代田区)1階にある「Kai House(カイハウス)」で行われました。

2019年9月には、この企画のキーマンである『リストランテ カノビアーノ』植竹隆政シェフや料理教室の主宰者が岩手県八幡平市を訪れ、生産企業の視察や、現地の会場を貸し切り八幡平市の商品を活用したレシピの提案会を生産者向けに行いました。その後10月には、それぞれの料理教室でタイアップレッスンを行い、八幡平市とその食材の魅力を生徒に伝えました。

交流会で考案したメニューをイベントで披露

「食と工芸の交流会」の当日は、八幡平市の生産者と料理教室主宰者がペアとなった複数のブースが会場に作られ、センスと技術に秀でた料理家ならではの料理が一般参加者に振る舞われました。
イベント冒頭では、岩手県八幡平について紹介。秋田県と青森県に隣接する内陸のエリアにあり、冬は厳しい寒さと夏には山から冷たい季節風の「やませ」が吹き下ろすことが生産にも大きく影響するそうで、米どころの東北でありながら稲作が定着せず蕎麦などの雑穀文化が発展したことなどが説明されました。

そしてカノビアーノ オーナーシェフ植竹隆政シェフが登場し、実際に八幡平市の食材を使った料理をデモンストレーションしていただきました。まず『牛肉と安比まいたけのミートソース わんだい高原そば粉のピッツォケリ』の調理が始まりました。

ピッツォケリはグラウビュンデン州南部イタリア語圏のそば粉を使った伝統パスタ。八幡平で採れた新鮮なそば粉で作られた生地を手慣れた様子でこねて伸ばしていきます。
この料理でメインといえるのが安比まいたけ。かごにのった安比まいたけを見せながら、「本当に美しいまいたけです。なかなか市販ではお目にかかれません」と感嘆した様子の植竹シェフ。フライパンにまいたけを入れて、軽やかな手つきでエクストラバージンオイルを回しかけます。「素焼きをするのは水分をしっかりと抜いてうま味を閉じ込めるため」と植竹シェフ。会場を訪れた参加者たちは大切なポイントを聞き逃すまいと熱心な様子で見守ります。

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撮影/菊池陽一郎 取材・文/松葉紀子

植竹隆政さん

1963年神奈川県生まれ。調理師専門学校を卒業し、原宿『バスタパスタ』の開業メンバーとして活躍して渡伊。帰国後、『ビゴロッソ』の料理長を経て、1999年『リストランテ カノビアーノ』を開業した。当時はまだポピュラーでなかった京野菜の味わいに感銘を受け、野菜を中心とした自然派イタリアンを確立する。老朽化を理由に代官山の店を閉め、2017年5月、ホテル雅叙園東京内に新生『リストランテ カノビアーノ』をオープンした。