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岩手県八幡平市「食と工芸の交流会」

イベント
2019年12月3日

貝印が運営するKai House Clubでは、岩手県八幡平市商工会と連携し、八幡平市食材の首都圏での販路を開拓する取り組みを2019年9月にスタートさせました。その集大成と言えるイベント、「食と工芸の交流会」が2019年11月8日、貝印本社(東京都千代田区)1階にある「Kai House(カイハウス)」で行われました。

会場では八幡平市の豊富な食材と料理主宰者が考案したメニューがズラリ

会場に出展していたブースの一部を紹介しましょう。まず、調理デモで使われたまいたけの生産者を直撃。「まいたけは本来、国内なら材のおか屑を使用して育てるのが古来の方法です。私たちはその方法で栽培しているので市販のものとは比較にならないほど株が大きいんです」と有限会社安比まいたけの羽沢寿隆さん。ペアを組んでメニューを考案した料理教室主宰者の一人、「料理教室IMAGINER」の伊藤くみ先生は「現地で栽培されているときから株の大きさが全然違うのを見て驚きました」と視察を振り返ります。肉厚だけど柔らかくて食べやすいという安比まいたけ。伊藤先生が考案したメニューは『焼きニョッキ まいたけのローズマリーソース』です。うま味が強い分、炭水化物との相性がいいと思ったと言います。実際にまいたけの味が染み込んだニョッキを食べると、口の中に秋ならではの香りがふんわりと広がって絶品でした。通常、ニョッキはセージと食べることが多いそうですが、まいたけがしっかりとしている分、今回使用したローズマリーの香りにも負けないところがポイントだと話してくれました。

次に高アミノロース米の生産を手がける『North Line40 +8』のブースに移動。
「この米は体に吸収しづらいデンプンを多く含んでいて、血糖値の上昇が穏やかになります。GI値が2~3割と低く、健康にもいいのでポテンシャルが高いです」と代表の工藤光栄さん。「この米の品種はきたみずほというのですが、他の品種と混ぜられないことが難しい」と生産の苦労話をしてくれました。食材の良さを生かすために、自身でもさまざまなメニューの開発に力を入れているそうですが、「やっぱりプロのアイデアはすごいですね」と感心しきり。料理教室Super Beauty Recipesのむらき じゅん先生が考案したのは「アボカドとタコのサポメシサラダ」。甘酢がアクセントになってクセになる美味しさです。「お米を炊くと、パラパラとした仕上がりなのでサラダに合うと思いました」とむらき先生。現地の交流会でライスサラダが好評だったことから簡単に手に入る食材でアレンジしたと話してくれました。

生産者と消費者が直接出会い、どうすれば食材の美味しさを最大限引き出せるかを考える。
新たな食材の発見と人との出会いが生まれた素晴らしい交流会でした。
「Kai House Club」では今後も地域の素晴らしい食材と出会える企画やイベントを開催する予定です。
イベントへのご参加はもちろん、料理教室主宰者としてのご活躍が広がるKai House Clubへのご入会もお待ちしています。

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撮影/菊池陽一郎 取材・文/松葉紀子

植竹隆政さん

1963年神奈川県生まれ。調理師専門学校を卒業し、原宿『バスタパスタ』の開業メンバーとして活躍して渡伊。帰国後、『ビゴロッソ』の料理長を経て、1999年『リストランテ カノビアーノ』を開業した。当時はまだポピュラーでなかった京野菜の味わいに感銘を受け、野菜を中心とした自然派イタリアンを確立する。老朽化を理由に代官山の店を閉め、2017年5月、ホテル雅叙園東京内に新生『リストランテ カノビアーノ』をオープンした。