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大草直子さん 似合う服の見つけ方

スキルアップ
2019年08月14日
自分らしさを生かしたファッションが、魅力を引き出したり、個性を立たせたりするのに必要だとはわかっていても、そもそも自分に何が似合うのかがわからない! 料理には自信があっても、ファッション面では不安という人も多いかもしれません。服装は個人事業主にとっては社会へのメッセージであり、時には営業ツールのひとつでもあります。今回は人気の理論派ファッションエディターとして、長年多くの女性が輝くヒントを提案してきた大草直子さんにお話を伺いました。

「似合う」を知る第一歩は、自分写真撮りの習慣

「似合う服を見つけるにはこの方法しかありません」と、開口一番大草さんが出した答えが「毎日自分の写真を撮ってもらうこと」だそう。鏡に映る姿を見たり、鏡ごしに自撮りするのではなく、誰かに撮ってもらうのがポイントです。
「友人でも子供でもパートナーでも良いので、誰かに頼んでください。横姿、バックスタイル、何かをしている途中など、無意識の写真が大事。動いている自分の姿を客観的に見ると“意外にヒップが大きいな”、“こんなになで肩だっけ?”と、自分の体型に気づき、さらにデータが溜まってくると、どの服を着ている時にどう見えるか、という分析ができるようになるんです」

「とびきり似合う服」以外着ない訓練を


こうして日々いろんな服を着て写真を撮るうちに、手持ちの服の中で「似合う」服が見えてくるはず。次は、それに基づいて絞り込む作業です。
「手持ちの服を“とびきり似合う服”、“似合うかどうかわからない服”、“全然似合わない服”の3カテゴリーに分けます。もしかしたら大半が2番目のカテゴリーに入ってしまうかもしれません。ですが、1番目のとびきり似合う服だけを残し、2、3番目に分類された服を勇気を出して封印してください。人にあげるなり、段ボール箱に入れてしまうなどして、一旦なくします。同じような服ばかりでもOKだし、3コーデしかなかったらそれだけで着回してみる。いつもバラエティ豊かに違う雰囲気のものを着る必要もないし、トレンドのファッションを着こなす必要もないんです。“似合う”幅を広げることよりも、“似合う”の奥行きを深めることを意識してください」。
そのためには、挑戦する作業よりもまず絞り込む作業が大事だと言います。
「ブラウンが似合わないのに“私にも似合うブラウンを探そう”とか、ミニが苦手なのに“どのくらいの丈であれば許されるだろうか”と実験するのは時間の無駄。似合わないものの中からではなく、すでに似合うものの中から探すほうが合理的で近道です」。
大草さん自身、甘いディテール、膝の出る丈のボトムス、スキニーパンツなど、決別したデザインは多数あるそう。限られた似合うものを着ているうちに、自分が似合う色や柄、質感、シルエット、ボリューム感などが分かってくるといいます。

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

お話を聞いた人:大草直子さん(スタイリスト、ウェブマガジン「ミモレ」コンセプトディレクター)
1972年生まれ。大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌「ヴァンテーヌ」の編集に携わったのち、独立。新聞、カタログを中心にスタイリング、エディトリアルをこなすかたわら、広告のディレクションやトークイベント出演、執筆業にも精力的に取り組む。2015年よりWEBマガジン「mi-mollet(ミモレ)」の編集長、2018年より、同マガジンのコンセプトディレクターに。プライベートでは3児の母。自分メディア「AMARCamarclife.com」主宰。