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プロフィール写真の正しい撮られ方

スキルアップ
2018年09月17日

ブログやSNSなど、個人が情報を発信する機会が増え、今や誰もがプロフィール写真を持っていても不思議ではない時代。特にフリーで働く人や料理教室主宰者であるなら、必須アイテムと言えるでしょう。けれど、考えてみてください。その写真はいつどこで誰に撮ってもらったもの? 写真の印象ひとつで、生徒の数も契約する仕事量もガラリと変わるかもしれません。そこで今回、プロの視点から考える「いいプロフィール写真」について、写真家の神戸健太郎さんに話を伺いました。
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全身写真を撮りたいなら、少し寄りかかって

もし何か仕事で全身写真も必要という場合は、表情だけでなくポージングでも悩むかもしれません。そんなときも、事前に好きな全身写真を用意しておき参考にするといいですよ、と神戸さん。
「ファッション誌だとポージングが難しいかもしれないのですが、ファッション系のECサイトあたりなら、洋服をきれいに見せるため、自然な姿勢でスタイルよく見える立ち方をしている写真が多いので参考になるでしょう。一般的には、壁にもたれかかるようにすると、あまりポーズに悩まずに自然な写真が撮れると思います」

取材やイベントで撮影してもらったときの注意点

カメラマンにプロフィール用写真を撮ってもらうにはどうすればいいかについてお伝えしました。最後に、少し頭の片隅に置いておいた方がいい情報を。
事前にギャランティーの条件や写真の使用用途まできちんと話して、お互いに納得して撮影してもらった写真であれば、その後、その写真をメディア露出に用いるのは許されることですが、雑誌の料理撮影やフードイベントのような場所で、プロのカメラマンに出合ったとき、つい気軽に「撮ってもらったこの写真を、今後のプロフィール写真として使いたい」と思うこともあるかもしれません。しかし、自分を映した写真であっても、それをカメラマンに願い出ることは注意が必要です。というのも、カメラマンは撮影技術が売り物、要するに商品なので、「撮った写真、ください」と言うのは、商品を無料提供して欲しいとお願いしているようなものだからです。
さらに、雑誌撮影やイベントの場合、出版社やテレビ局、制作会社など、主催者側が準備した現場ということもあり、写真を撮影したカメラマン以外にも道義的問題が潜んでいることも多々あります。どうしてもその写真が気に入って使いたいと思う場合は、正当な金額を払って買い取りしてでも入手したいという時に限って、まずは撮影現場の担当者など、主催者に連絡し、買い取りの相談ができるかどうか尋ねてみると良いでしょう。もちろん、断られる場合もありますし、買い取り金額が想像をはるかに超える場合もありますので、そのあたりも含めて交渉にあたることが大切です。
さて、雑誌や広告などで活躍しているカメラマンの場合、いくらで撮ってもらえるんだろう、という不安もあるでしょう。神戸さんからはこんな提案が。
「そもそも、一般の方のポートレート撮影の基準価格については未設定というカメラマンがほとんどだと思いますが、例えば5〜10万円位の範囲でまずはご自身の予算を伝えてみてはいかがでしょうか。それではダメだというカメラマンもいるかもしれませんが、交渉のスタートラインとしては妥当な金額だと思います」
いかがでしょうか。今まで考えていたプロフィール写真の撮り方とは、発想もプロセスも全然違ったという人も多いかもしれません。しかし、写真一枚が仕事の運命を左右するかもしれない時代、試してみる価値はあるはず。一度検討してみてはいかがでしょうか。

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

話を聞いた人:カメラマン 神戸健太郎さん
Kentaro Kambe●1976年東京生まれ。1998年都内スタジオに入社ののち、2001年より独立。女性ファッション誌を中心に幅広く活躍している。インスタグラムアカウント@kanbepouty http://www.kentarokambe.com/index.html