お弁当ケータリングから始まった物語

インタビュー

若干20代の女性が作る四季折々の食材を使ったお弁当ケータリングから始まったひとつの物語。おいしいお弁当は、時代の最先端を読む雑誌編集者の間でたちまち評判になり、料理家デビューを果たしたのが料理家のワタナベマキさんです。2006年の処女作出版以来、最新刊を含めて著書の数はなんと67冊にも上ります。自然で丁寧な暮らしを実践する様子がうかがえるワタナベさんに、本作りについて伺いました。

2019年07月10日

2015年料理レシピ本大賞で2冊同時入賞

そんなワタナベさん、2015年の料理レシピ本大賞の【料理部門】では、家の光協会から出版した『冷凍保存ですぐできる絶品おかず』と、主婦と生活社の『そうざいサラダ』は2冊同時入賞を果たし、売れっ子料理家の名にますます拍車がかかります。どちらもワタナベさんが料理家として活動し始めた初期からの、お付き合いの長い版元です。
『冷凍保存〜』は毎日の料理が少しでも楽に作ってもらえるようにと提案。解凍してすぐ食べられる常備菜や焼くだけにした主菜の冷凍ストック。あるいはストック袋に十字の線を入れて小分けできるようにした工夫など、見ただけで調理工程や出来上がりのイメージが湧くインパクトのある表紙デザインでした。
『そうざいサラダ』は野菜がたっぷり摂れるだけでなく主菜にもなる「そうざい風」サラダの提案が、健康志向が進む時代のニーズを上手にキャッチ。実用的なレシピが評価されたのです。
「料理本は作ってもらってこそだと思っていましたので、この2冊が受賞できたのは本当に嬉しかったです。油染みがついたような使い込まれた本を見るとじんわりしてしまいます。ずっと手元に置いていただける本を作っていきたいですから」

最近は、「私の“好き”をたくさん詰め込んだ」というニッチなテーマに挑戦してみることも増えてきました。ワタナベマキさんがお気に入りという3冊がまさにそれ。
『アジアのごはん』(主婦と生活社)は学生時代からよく旅行していたというアジアの料理をワタナベさんらしい作りやすいレシピでまとめたもの。『かけるだけ、あえるだけ醬の本』(家の光協会)は手作りの醬でいつものおかずとは一味違う一品にしようという提案。また『グラタン・ドリア』(誠文堂新光社)は、「子どもの頃からグラタンとドリアが好きで好きで」と作ってしまった1冊。いずれも「ニッチを味方につけると本の出版への道に近づける」とワタナベさんが言うジャンルです。表紙のデザインもとても素敵です。
「本作りは1人ではできないことなので、人を巻き込むことも重要だと思います。そして誰にも負けない自分の強みを見つけること」
仲良しのライターさんと一緒に企画書を作って提出しているのは「プロの意見を聞いて次に生かすようにしたいから」と言います。「なかなか(企画は)通らないんです」と笑いますが、挑戦してみることの重要性をワタナベさんはよくご存知のよう。

また、1冊目の出版から10年が経った頃から少しずつ冒険的なテーマに挑戦するようになりました。『香草・ハーブレシピ』(産業編集センター)はアートブックのようなデザインで、これもワタナベさんが気に入っている著作のひとつ。最近では、玉ねぎやじゃがいも、たまごという素材をベースに展開していく「食の方程式シリーズ」(誠文堂新光社)という斬新な試みにも挑戦しました。
今年も新刊の撮影予定が続くそうですが、「流行りものより確実においしく作れること」にこだわる姿勢を崩さないワタナベさんの本全体に安心感が漂います。そこに依頼が絶えない理由があるのかもしれません。

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撮影/山下みどり 取材・文/綛谷久美

プロフィール
ワタナベマキさん

料理家。グラフィックデザイナー時代に「サルビア給食室」名義でお弁当のケータリングを開始し、その後、料理の仕事を始めて独立。雑誌や書籍でのレシピ提案やテレビ出演、講演など幅広く活動中。東京・世田谷にオープンした『STOCK THE PANTRY』も話題に。

 

はじめての著書
『サルビア給食室だより 』
2006年5月1日発行
ヴィレッジブックス
B5判、平綴じ、94ページ

 

料理レシピ本大賞【料理部門】2015年入賞
『冷凍保存ですぐできる絶品おかず』
2014年5月26日発行
家の光協会
B5判、平綴じ、96ページ

 

『そうざいサラダ』
2015年3月13日発行
主婦と生活社
A5判、平綴じ、127ページ


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