特集記事

動画クリエイター はるあんさん

インタビュー
2020年09月15日
料理人をはじめ、料理にまつわるスタイリストやフードコーディネーター、カメラマンなど、食を支えるクリエイターのインタビューをお届けする連載。料理への向き合い方、仕事観、読者のスキルアップのためのノウハウなど、食を支え、未来を描こうとする様々な職種の方々の料理に対する考えや思いを伺います。

「料理をしたい」気持ちをコントロールすること

YouTubeへの投稿を始めて4年。その間は、自分のペースで投稿していた時期もあれば、チャンネルを伸ばすことを意識して取り組んだ時期もあり、動画投稿の頻度や向き合い方を試しながら進めてきたといいます。

一方で、はるあんさん自身が楽しみながら料理をすることが継続の秘訣だといいます。しかし、どんな時でも料理や動画の制作を楽しめるわけではありません。

「自分よりもっと料理が上手な人は沢山いますし、私のレシピはもしかしたらダメなんじゃないか?そんなふうに人と比べてしまって、ネガティブになることもあります。自分の中で自信がある時とない時があって、想いがクルクル回るんです」

どれだけ楽しんで料理ができるか。楽しめない時期は、あえて料理をしないこともあると、はるあんさんはいいます。外食をしたり、大好きなパン屋に行ってインプットを増やすことなどで、「料理がしたい!」という熱量が上がってくるそうです。

さらに料理以外の好きなことを充実させることも、熱量を保ち続ける方法だといいます。

たとえばファッションが好きなはるあんさんなら、新しく買ったワンピースの色に合わせた料理を作ったり、このワンピースとエプロンの組み合わせを着ると作りたくなる好きなお菓子を自分の中に用意しておいたり。自分の好きなものを増していくことで、自信につなげています。

「自分が好きなものがあるということは、自分の世界を作り上げていることだと思うんです。ですから、好きなものを増やす努力はこれからもしていきたいですね。やっぱり料理が楽しい!と思った先に、動画を撮ろうとか、レシピを作ろうという気持ちにつながっていきますから」

はるあんさんの初の著書「今日食べたい一品がすぐに見つかる!『はるあんのとっておきレシピ』」(KADOKAWA、1430円、税込)。一つ夢が叶ったというはるあんさんの次の目標は、自分の料理番組を持つことです。

「料理が好き」なだけで十分オリジナリティがある

はるあんさんは、動画の出演だけでなく、撮影、編集、音楽、テロップ制作など、すべての行程をひとりで行っています。なかでも音楽をつける作業がもっとも好きで、動画と音楽と音声とがピタリとあった時が最も嬉しいといいます。

逆に苦手なのはテロップをつける作業。動画制作の最後の行程ですが、何度も見た動画の作業よりも、早く次の動画を作りたいという気持ちの方が勝ってしまうからだそうです。

「一番は、私がどれだけ全てに情熱をかけられているかだと思うんです。動画に対しても、撮影に対しても、編集に対しても、情熱がかかっているか。それは視聴者の方に伝わると思います」

はるあんさんは動画を制作する上で、ヘアスタイルに気を付け、ネイルやアクセサリーはしないなど、清潔感を大事にしているといいます。これは料理家であれば、普段の料理教室で気を付けることと変わらないのではないかと、はるあんさんはいいます。一方で、動画を制作するにあたって誰もが突き当たる壁に「恥ずかしさ」があるといいます。

「実は私もその壁に突き当たりました(笑)。すごく恥ずかしかったですよ、誰もいないのに一人でしゃべるのは。料理家さんでも、人の前に立って喋るのは慣れていても、カメラに向かって喋るのはまた違った難しさがあると思います。すごく孤独な作業だと思いますが、カメラのレンズの先に沢山の視聴者がいる、ということを忘れずに、その方たちに話しかけるようにしていくのがいいと思います」

はるあんさんは、動画再生時間を10分から15分に収めるようにしています。レシピを紹介するだけでなく、自分の好みやキャラクターをプラスアルファで収め、自分の存在を知ってもらうようにするといいといいます。

「私は、型にはまらないようにしています。型にはまるとオリジナルではなくなってしまうと思うんです。それに、料理が好き、という時点ですでに型にはまっていないというか、他の人から見たら個性がある存在だと捉えられると思います!だからありのままを出していけば、十分オリジナリティがあるのではないでしょうか。カメラの向こうのみなさんに話しかけているイメージが大切だと思います」


日本の器の産地をめぐって、好きなものを集めたいというはるあんさん。好きなお皿が料理への情熱を生むこともある、とも。

好きなエプロンを集めるのが楽しいとはるあんさん。お気に入りは中央の青いストライプのエプロン。著書の表紙でも着用しました。

動画は一眼レフカメラ1台で撮影しています。ワンカットごとにはるあんさん自身が動かすので、10~15分の動画の撮影に2時間もかかることも。

 

1 2

撮影/大平正美 取材・文/江六前一郎

動画クリエイター はるあんさん

料理好きが高じて、2016年、高校1年生からYouTubeに投稿を開始。料理・撮影・編集など自身の世界観を大切にするため、こだわりを持った動画制作を行っている。真似したくなるメニューばかりで、「作ってみました!」とSNSで多く反響を呼んでいる。
YouTubeチャンネル