岩手県の北西部に位置する八幡平市をカイハウスクラブのカリナリーアーティスト(教室主宰者)が訪問しました。
本プロジェクトは、2018年から助走的にスタート。そして2019年は、合計10名のカリナリーアーティストとシェフが八幡平市を訪れ、生産者から直接お話を聞かせて頂きました。レシピのインスピレーションともなる作り手の思いや歴史を伺い、「使い手」として非常に刺激になる機会となりました。
訪問した生産者様との交流の様子をご紹介します。
地元の味噌作りを支えてきた麹屋
岩手県の盛岡から、車で約40分程移動。八幡平市にて、最初にお邪魔したのは、地元の人の味噌作りのための「麹」を供給してきた「麹屋もとみや」さん。
時代の変化と共に、地域の方のライフスタイルも変化。昔の様に、各家庭で、一から味噌を作るということはだいぶ減ってしまったそうです。
昨今では、地元の農家さんは自家製大豆をもとみやさんに持ち込み、味噌作りを依頼するそうです。
日本一の漆産地の膝元
八幡平市が存在する岩手県北部は、日本一の漆産地。漆の自給率がわずか3%という日本で、そのうち約70%が岩手県産だそうです。その恩恵を受けて発展したのが、漆器作りです。明治時代には、荒沢漆器として隆盛を極めました。今日は、安比塗として、伝統技術が継承されています。
安比塗の技術を学び継承する人材を県内外から受け入れ、製造販売までを手掛ける「安比塗漆器工房(安比漆企業組合)」で、非常に手間のかかる漆の採取方法について学び、その貴重な原料を使ってする作業現場を見学しました。
舞茸栽培の先駆者
次に「安比まいたけ」にお邪魔しました。現代表の羽沢様のお父様は、農家でありながら「農薬が嫌い」という当時(昭和50年頃)では理解されない考えの持ち主だったそうです。そこで、農薬を使用しなくても育てることのできるものをということで、独自で思考錯誤し、舞茸の栽培方法を確立したそうです。
栽培の重要な鍵となるのは菌床作り。自社所有のナラの木のおがくずなどが主な原料となるそうです。秋の気候を再現した栽培室は、常に室温を15度~20度に設定。地下60メートルからくみ上げた地下水を噴霧し、山にかかる朝靄を再現するそうです。収穫間近になると、まいたけは20センチ以上の大きさになり、傘も肉厚となる。形もまるでバラの花のように美しい。通常のスーパーで見るものとは、まるで違います。
この度の八幡平への訪問研修は、2泊3日で13の生産者を訪問。次回のレポート以降にて、引き続き生産者巡りを紹介して参ります。
記事内で紹介している各生産者のホームページを是非とも見てみてください。そして、八幡平にも足を運んでみてください。
第2弾記事に続く。