特集記事

SPROUT Café さくら坂

インタビュー
2020年01月16日

初めてのレシピ本を出版したり、レストランをオープンしたり。食に関わる仕事でひとつの夢を叶え、ターニングポイントに立った話題の料理家や食に関わる職業の方へのインタビューをお届けする連載。「何かはじめたい」という思いを持った人へ、一歩踏み出すためのヒントに溢れています。

3人だから心強い、3人だからこそ挑戦できた

朝11時の開店。愛犬を連れた近隣の方がテラス席に入られていきます。ランチタイムになると、隣接するアークヒルズに勤める会社員の方たちが、おだやかな昼食を求めて来店してきます。ヨーロッパのアンティーク家具や古美術品に囲まれた店内で過ごすゆったりとした時間――。都心にありながらしっかりと地元に愛させれる「SPROUT Café さくら坂」は、2019年4月にオープンしたばかり。「新芽」という店名が似合う新しいデザートカフェです。

テラス席は、ペットの同席が可能。春になると、一斉に花開く街路樹の桜が、テラス席から一望できます。

 

12年ぶりに3人がチームとして集まった

「SPROUT Café さくら坂」は、シェフパティシエの吉田順子さん、代表の野崎照美さん、マネージャーの井上淳子さん(トップ画像の左から)が共同で立ち上げたお店です。3人は、六本木にある「ミシュランガイド」で現在も二つ星の評価を得ているレストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」の2003年の立ち上げメンバー。その後は、ロブションを離れそれぞれの道を歩みながらも、人生の節目に連絡を取り合うような関係でした。

2017年、ロブションを離れた野崎さんが勤めていたレストランから、独立を目指すことになります。野崎さんは井上さんを誘い、運営とサービスのスペシャリストが集まると、肝心の作り手をどうしようかという話になったといいます。すると野崎さんたちの頭に自然と浮かんできたのが吉田さんだったのです。

クオリティの高いデザートを長年作り続けてきた吉田さん。

 

「ロブションに12年。最後の4、5年は、パティスリー部門の責任者を勤めました。自分の中での達成感を感じて退職し、ちょうど次のことを考えていたときでした。野崎さんから『焼肉に行こう』と、連絡をもらったんです」。この連絡がきっかけで、3人の時間は再び動き出します。

ちなみに吉田さんが野崎さんに、焼肉に行こうと誘われたのは2度目だそうです。吉田さんは一時期、ロブションから離れ、料理教室などをしていた時期があります。その時にロブションに戻るきっかけを作ったのも野崎さんからの“焼肉のお誘い”でした。「野崎さんと焼肉に、運命を感じます」と吉田さんは笑顔で振り返ります。

1 2 3

撮影/大平正美 取材・文/江六前一郎

吉田順子さんプロフィール

よしだ・じゅんこ/東京・六本木一丁目にある「SPROUT Café さくら坂」のオーナーの一人で、シェフパティシエ。2003年に「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」に入店。以来、ロブション系列のブティックなどを経て、グループ全体のパティスリー部門全体の責任者に。2015年、退社。その後、元同僚の野崎照美さんと井上淳子さんとともに、2019年4月に「SPROUT Café さくら坂」をオープンさせた。

SPROUT Café さくら坂

東京都港区六本木1-3-37
アークヒルズアネックス
電 03-6229-3690
営 11:00~
席 店内22席、テラス14席
休 火曜