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肩肘張らずに楽しむ クローニー

レストラン
2018年09月20日

レストランの主役は料理ですが、美味しさの理由は料理だけではありません。洗練されていて心地よい空間と、驚きがあって温かみのある料理。今月は、一見相反する要素が両立し、すべてのゲストを心から満足させる話題のフレンチレストランを訪ねました。

ホスピタリティが美味しさを形づくる

ガストロノミー界が注目する東京・西麻布のモダンフレンチレストラン「Crony(クローニー)」。シェフを務める春田理宏さんは、20歳でフランスに渡り、パリ、東京、コペンハーゲン、オスロ、サンフランシスコの数々の星付きレストランで研鑽を積んだ新進気鋭の料理人で、フレンチをベースに、深く広く積み重ねた経験と独自のセンスで生み出されるイノベーティブな料理を体験できます。
コースは、遊び心のあるプレゼンテーションを交えて構成されているものの、美味しいことが何よりも優先されると春田シェフ。世界中で働いてきた経験と、日本人であるというアイデンティティ。日本の食材や旬のものを使いながらオリジナリティがあり、すべてのゲストが満足できる料理を目指したいといいます。
「普段あまり外食をしない方たちにも『美味しい』と感じてもらえて、世界中を食べ歩いているフーディーの方には『ここはあの技法を応用して落とし込んでいるな』と楽しんでもらえるような、どんな食体験をしてきた方たちにも喜んでいただける料理。それを実現するにはトータルのバランスが大切だと考えています。料理だけではなく、ドリンク、テーブルやインテリア、そしてサーブするリズム。僕ひとりで味や見た目だけを追求してもお客様が本当に料理を美味しいと感じられる時間や空間は作れないですし、みんながいないとできません」
春田シェフのいう“みんな”とは、ディレクターで元「カンテサンス」総支配人の小澤一貴さん、マネージャーで元コンラッド東京「コラージュ」支配人の小野寺透さん、ソムリエで元「リッツカールトン東京」の石川雄大さん、元「エスキス」の田島さんという4名のオープニングスタッフたち。ここに春田シェフを加えた5人は古くから交流があり、料理やサービスに対して硬派で実直に取り組んできたメンバーたちがあえて、グランメゾンではなくゲストにも肩肘張らずに楽しんで欲しいという想いで、店名に英語で“悪友たち” “仲間”の意味を持つ「Crony」を冠し、その世界観を形成しています。

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撮影/大木慎太郎  取材・文/江原裕子

Crony(クローニー)の詳細情報

店名 Crony(クローニー)
電話番号 03-6712-5085
URL http://www.fft-crony.jp/
住所
東京都港区西麻布2丁目25-24 NISHIAZABU FTビル MB1
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営業時間 18:00~翌2:00
ジャンル フレンチ

シェフの紹介
春田 理宏(ハルタ ミチヒロ)さん1987年、大分県生まれ。2006年に高校調理科を卒業後、「ホテルニューオータニ博多」でキャリアをスタート。2008年に渡仏し、アルザス、ペリゴール、プロヴァンスのレストランを経て、パリの一ツ星「Laurent(ローラン)」、同三ツ星「Ledoyen(ルドワイヤン)」などでフレンチの基礎を学ぶ。2011年に帰国後、東京・三ツ星「カンテサンス」、デンマークの現二ツ星「Kadeau(カドゥ)」、ノルウェーの現三ツ星「MAAEMO(マエモ)」などを経て、白金台「ティルプス」のシェフに就任し、一ツ星を獲得。現在は西麻布「Crony(クローニー)」のシェフとして、パリ、北欧、東京、アメリカ西海岸の最先端の技術とセンスを独自に昇華させたモダンフレンチを提供している。