気鋭の寿司職人が繰り出す 新感覚のコースに注目!

今、フーディたちが注目する「恵比寿 えんどう」。若き寿司職人、遠藤記史さんの店です。今年2月にオープンしたばかりながら、すでに予約困難の人気振りで話題になっているお店を訪ねました。

2019年05月29日

今年、自身の店を構えて独立を果たした遠藤記史さん。18歳からイギリスにサッカー留学をし、25歳で帰国したというユニークな経歴の持ち主です。もともと実家は寿司店でしたが、当時は「仕事がキツそう」という理由から興味が持てなかったそう。でも、長い海外生活を通じて改めて日本の食の豊かさに気づいた経験から、職人の道を志したといいます。

「風味を重ねる手法ゆえにフランス料理を油絵に、いっぽうで日本料理は水墨画という例え方がよくありますよね。ならば、寿司は書道に近い。使う素材が限られた中で、どれだけ潔く、豊かな表現ができるのかという点に挑戦したいと思っています」と遠藤さんは話す。

意外なコース構成でサプライズ感を盛り込むのも、同店の人気の秘密。最初の一品は昆布とかつお節で丁寧にひいた「出汁」。「寿司職人は、技術屋さんに近い。だから、それを見極めてもらうためにまずはシンプルに出汁を味わっていただきたいと考えました」と遠藤さん。

続いて供されるのは「すっぽん」。その繊細な味わいをみりんとしょうゆで炊くことでシンプルに生かした一皿です。

寿司を進化させるために、
歴史的に根拠のないアップデートはしない

世界的に寿司が注目を浴びる今、素材の取り入れ方で斬新な一品を生み出すことは簡単。でも、単に新しくするのではなく進化させることが目標。江戸前寿司は、冷蔵などの環境が整っていない時代、生魚の保存性を高めるために職人が工夫を凝らしてきた背景があります。「その工程が現代に本当に必要なのか、成り立ちを勉強しながら常に考えています。いかに珍しくても、根拠のないアレンジはしません」。通常は、淡泊な味わいの白身魚などのネタを最初に出すことが多いですが、ここでの握り一品目は「中トロ」。お任せではなくコース仕立てで、先にお料理を何品か味わった後だから、程よい脂と旨味のインパクトがあるネタから始めたいという想いゆえの演出です。

江戸前寿司で人気のネタと言えば穴子。でも、遠藤さんはスペシャリテに「うなぎ」を据えています。しっとりジューシーに煮た後に炙り、たれで頂きます。「川魚は握りにしないといわれているけれど、うなぎは海で生まれている。だったら握ってもいいじゃないかと思って取り入れています(笑)」。

締めの一品は、トロタクの手巻き。折詰のお土産ではなく、出来立てが味わえるカウンター席だからこそ、海苔はパリパリの状態で供したいとの考えから、巻きすを使用せず手巻きで提供します。

先人たちが積み重ねてきた寿司というジャンルに敬意を払いつつ、常に「どうしてそれじゃいけないの?」という“Why not?”精神を持つ遠藤さん。彼が目指す、変化ではなく進化した寿司は、常に最旬の感動を与えてくれるに違いありません。

レストラン名の詳細情報

店名 恵比寿 えんどう
電話番号 03-6303-1152
住所 東京都渋谷区恵比寿1-17-2 Rホール4FGoogle Mapで確認
ジャンル 寿司

撮影/平松唯加子  取材・文/木村千夏

シェフの紹介
遠藤 記史(エンドウ ノリヒト)さん
1986年、東京都生まれ。18歳でイギリスにサッカー留学し、25歳で帰国する。長い海外生活を経て改めて感じた日本食の多彩さに惹かれ、寿司職人の道を志す。その後、銀座の寿司店や穴子専門店を経て、六本木の名店で経験を積み、今年2月恵比寿に自身の店を構え、独立を果たす。お茶と寿司のペアリングを提案するなど、斬新な発想から繰り出されるコース構成で注目されている。


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