「Mimosa(ミモザ)」透明感のあるオールド上海料理

広大な領土と、長い歴史を持つ中国。この国の食文化はエリアごとに個性を持ち、それぞれの気候や風土に合わせて発展してきました。今月は、古くから伝わる上海の家庭料理をベースに、素材の持つ香りや持ち味を大切にした料理を提供し、オープンから1年余りでミシュラン一ツ星を獲得した東京・南青山の名店を訪ねました。

2018年08月3日

五味の調和を重視し、素材の持ち味を活かす

東京・表参道の青山通りから1本入った路地裏にあるレストラン「Mimosa(ミモザ)」。新宿御苑の上海料理の名店「シェフス」でシェフとして腕を振るった南俊郎さんが、自身が学んできた老(オールド)上海の家庭料理をメインに、四川、北京、香港、深圳(セン)など中国各地を訪れて出合った味を新たな解釈で提供しています。

「中国料理では、食材の切り方、サイズ、調味料の合わせ方がとても大切。だから、意味もなく高級だったり珍しかったりする食材は使いません。理想とするのは、まとまりがあって、理に適った料理。僕の料理のトーンは、それが和食だったとしても基本的には全部同じです。甘味、旨味、塩味、酸味、苦味で五角形を作ったとき、真ん中を突くような透明感のある味が好きで、それが自分の味になっていきました。長い歴史と伝統がある中華の料理法は完成されていますし、そこに少しだけ新しいエッセンスを加えて、おいしくて違和感なくなじむ、心から熱量のある料理をやっていきたいです」

南シェフが作る世界は、シンプルで優しく、親しみやすいのに新しい味。素材に手を加えすぎず、その持ち味を活かしているから、一見素朴に見える料理も口にするとハッとするおいしさ。料理の本質を突いた、本物の贅沢を感じることができるでしょう。

中国各地の風土から生まれた味を、上質な一皿に

中華のイメージを覆す軽やかな食べ心地で、ワインとの相性も抜群の料理の数々。スペシャリテを除きメニューは月替わりで、アラカルトのほか、コース¥8,500も用意されています。まさに“食通が唸る味”という常套句がぴったりな、上質な中華を堪能できます。

サクサクのパイ生地をほおばると、中にはさっぱりした大根とネギの細切りがぎっしり。フィリングに熟成した金華ハムでうま味をプラスしたお店のスペシャリテ、大根パイ(2個)¥1,400。パイ生地の油脂にはラードを使用し、揚げたときにそのラードがにじみ出てよりパリパリに。シンプルな食材、素朴なルックスながら、手の込んだ食感と味覚のハーモニーが楽しめます。

香港のチャーチャンテン(喫茶店のような香港式の大衆食堂)でおなじみのメニューをアレンジした「香港式エビグラタン」¥2,900。チーズではなく溶き卵とパン粉をかけて焼くのが香港流で、ベシャメルソースにココナッツミルクとカレー粉を加えたほんのりエスニック風味な一品。

ラム肉を南乳に漬け込んで焼いた「仔羊の南乳ロースト」(2本)¥3,500。ラムの持つ独特な風味を、より魅力的なバランスに導く南乳は、豆腐を発酵させて紅麹と合わせた中国の伝統的な発酵調味料。肉質がやわらかくなり、奥行きがある味わいに。

バニラ香るかためのカスタードもどきをフライにした素朴なデザート、「揚げプリン」¥650。四川に伝わる調理法をおやつにアレンジしたもので、香ばしいきな粉をたっぷりまぶしていただきます。

ミモザのオープンから2年が経ち、新たな試みとして8月9日(木)に銀座ソニービル跡地に開業する「Ginza Sony Park」内の飲茶スタンド「MIMOSA GINZA」を手掛けることになった南シェフ。中国各地で親しまれているドリンクのほか、世界のおいしいドリンクを中国テイストにアレンジしたメニューも提供されるそうです。今回ご紹介した大根パイのほか、肉まん、春巻き、月餅などといった軽食もオーダーできるので、南青山の本店が予約困難なときは、ぜひこちらにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

レストラン名の詳細情報

店名 Mimosa(ミモザ)
電話番号 03-6804-6885
URL http://www.mimosa-aoyama.com/
住所 東京都 港区南青山3-10-40 FIORA南青山 2FGoogle Mapで確認
ジャンル 老上海料理

撮影/平松唯加子  取材・文/江原裕子

シェフの紹介
南 俊郎(ミナミ トシロウ)さん
1983年生まれ、徳島県出身。大学卒業後、辻調理師専門学校にて中国料理を専攻。大阪「空心」で修業した後、東京・新宿御苑前の「シェフス」に入店。2年後にはシェフに就任し、計6年半の間、腕を磨く。2016年夏に独立し、老上海料理店「Mimosa(ミモザ)」をオープン。


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