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透明感のあるオールド上海料理 ミモザ

レストラン
2018年08月3日

広大な領土と、長い歴史を持つ中国。この国の食文化はエリアごとに個性を持ち、それぞれの気候や風土に合わせて発展してきました。今月は、古くから伝わる上海の家庭料理をベースに、素材の持つ香りや持ち味を大切にした料理を提供し、オープンから1年余りでミシュラン一ツ星を獲得した東京・南青山の名店を訪ねました。

サクサクのパイ生地をほおばると、中にはさっぱりした大根とネギの細切りがぎっしり。フィリングに熟成した金華ハムでうま味をプラスしたお店のスペシャリテ、大根パイ(2個)¥1,400。パイ生地の油脂にはラードを使用し、揚げたときにそのラードがにじみ出てよりパリパリに。シンプルな食材、素朴なルックスながら、手の込んだ食感と味覚のハーモニーが楽しめます。

香港のチャーチャンテン(喫茶店のような香港式の大衆食堂)でおなじみのメニューをアレンジした「香港式エビグラタン」¥2,900。チーズではなく溶き卵とパン粉をかけて焼くのが香港流で、ベシャメルソースにココナッツミルクとカレー粉を加えたほんのりエスニック風味な一品。

ラム肉を南乳に漬け込んで焼いた「仔羊の南乳ロースト」(2本)¥3,500。ラムの持つ独特な風味を、より魅力的なバランスに導く南乳は、豆腐を発酵させて紅麹と合わせた中国の伝統的な発酵調味料。肉質がやわらかくなり、奥行きがある味わいに。

バニラ香るかためのカスタードもどきをフライにした素朴なデザート、「揚げプリン」¥650。四川に伝わる調理法をおやつにアレンジしたもので、香ばしいきな粉をたっぷりまぶしていただきます。
ミモザのオープンから2年が経ち、新たな試みとして8月9日(木)に銀座ソニービル跡地に開業する「Ginza Sony Park」内の飲茶スタンド「MIMOSA GINZA」を手掛けることになった南シェフ。中国各地で親しまれているドリンクのほか、世界のおいしいドリンクを中国テイストにアレンジしたメニューも提供されるそうです。今回ご紹介した大根パイのほか、肉まん、春巻き、月餅などといった軽食もオーダーできるので、南青山の本店が予約困難なときは、ぜひこちらにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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撮影/平松唯加子  取材・文/江原裕子

Mimosa(ミモザ)の詳細情報

店名 Mimosa(ミモザ)
電話番号 03-6804-6885
URL http://www.mimosa-aoyama.com/
住所
東京都 港区南青山3-10-40 FIORA南青山 2F
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営業時間 18:00~23:00(L.O)
ジャンル 老上海料理

シェフの紹介
南 俊郎(ミナミ トシロウ)さん
1983年生まれ、徳島県出身。大学卒業後、辻調理師専門学校にて中国料理を専攻。大阪「空心」で修業した後、東京・新宿御苑前の「シェフス」に入店。2年後にはシェフに就任し、計6年半の間、腕を磨く。2016年夏に独立し、老上海料理店「Mimosa(ミモザ)」をオープン。