
修行をした「タテル・ヨシノ」で、加藤シェフが最も好きだという「ジビエのパイ包み焼き」を、スブリム流に再構築。「肉の配合と生地をアレンジし、青首鴨とフォアグラ、ジビエのミンチ肉のハンバーグを、クロワッサン生地で包みました。肉の火入れと生地のサクサク感を重視し、焼き上がりのタイミングが合う発酵クロワッサン生地を選んでいます」。手の込んだ贅沢感のあるお料理で、この冬吉野シェフにあらためて手ほどきを受け、初提供されることになったという逸品。
大人の女性の琴線に触れること間違いなしのデザート「バラと灰」。熊本・阿蘇山の麓で育った食用バラと、バラの花びらを焦がした灰を使った、加藤シェフ自身が会心の作と話す一皿。灰でコーティングしたバラのアイス、石に見立てた灰のメレンゲ、バラのムース、バラのピクルス、バニラオイル香るタピオカスターチを盛り合わせた、ランダムで北欧的な仕立て。「パティシエではなく料理人なので、甘みのある料理と捉えてデザートを作っています」
「素材の味を活かす調理法」とは?
加藤シェフがたびたび口にする「素材を活かした調理法」。熟練のプロでないと難しいアプローチに思えますが、最後にこんなヒントをくれました。
「自分のレシピを作るときに、最初は“この食材をこう食べたい”から始めればいいと思います。茹でる・焼く・揚げる・蒸す・スモークをかけるなど、調理法はいろいろありますが、特定の素材をどう食べたらおいしいかは、普段の食事から自然に学んでいるはず。そして、なぜこの調理法だとおいしくなるのかを考えてみる。そこには理由がありますから。調理法に決まりはないですし、味の好き嫌いは個人の主観。僕も自分がおいしいと思わない調理法は使いません。そのうえで、レパートリーを増やしたり食を仕事にしたりしたいなら、きちんと勉強すればいい。いろんなジャンルのものを食べ歩き、新しい発見をしていくのがおすすめです」