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魚の匠・岡村光晃シェフに学ぶ魚料理

イベント
2019年11月21日

「Kai House Club」の会員になると、料理教室主宰者にとって役に立つ特典が、数々用意されています。なかでも支持されているのは、貝印本社(東京都千代田区)内にある「Kai House(カイハウス)」で行われる会員限定の特別セミナー。毎回大人気のセミナーですが、今回お迎えしたのは麻布十番にある「トラットリア ケ パッキア」の料理長の岡村光晃シェフ。今回は“魚”という素材を取り上げ、魚の匠(マエストロ)としても名高い岡村シェフから魚料理の真髄を学びます。

今回のセミナーのテーマは、「魚を知り美味しく料理するための考え方とテクニック」。魚料理の真髄を知るために名だたるすし屋で1~2年修行したと話す岡村シェフ。そんなシェフの料理の原点は“素材”です。「魚を知らなければ、本当の魚の味わいを引き出せない」と考え、岡村シェフは築地に足しげく通う一方で、銀座で長年愛されているすし屋の名店を訪れ、魚という素材の美味しさを最大限まで引き出すための技法を修得しました。今回はその技法を惜しみなく紹介する講座です。

魚の美味しさを最大限まで引き出すには「基本」が重要

“基本があって、その上に基本がある”と、とにかく基本のプロセスを重視する岡村シェフ。力強さがありつつ、日本人に合わせた繊細な味付けで訪れる人たちを日々驚かせています。


今回特に「コハダと鯖のマリネ」の酢で魚をしめる手順について江戸前ずしで学んだ方法を惜しみなく紹介してくれました。例えば青魚の下処理をする際、流水で洗うという人が多いなか、「水ではなく、塩水で洗う」方法を伝授。もともと海にいた生き物のため塩水で洗えば鮮度が変わるという理由に参加者も何度もうなずき、納得の様子。
「すしの世界では、下処理を手当(てあて)と言います。江戸前ずしの始まりは屋台で冷蔵庫のない時代から始まっています。ですから、鮮度を保つ方法を知っているのです」。

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撮影/名和真紀子 取材・文/松葉紀子

<プロフィール>

岡村光晃さん。1974年静岡県生まれ。洋食店等での経験ののち、本格的にイタリア料理を始めたのは26歳。姉妹店「ピアットスズキ」のオーナーシェフ鈴木弥平氏のもとでイタリアンの基礎を学び、2009年より現在の「トラットリア ケ パッキア」の料理長となる。2012年11月、フジテレビ「アイアンシェフ」に出演。フレンチのアイアンシェフ・須賀洋介氏にキノコ料理で挑む。「基本があってその上に基本がある」をモットーにお客様と向き合う毎日。お店はイタリア中部に位置する、トスカーナ州の田舎の家庭をイメージした内装。お客様がくつろげる空間と、アットホームなおもてなしを大事にしている。「モダンなものより、普通のイタリア人が食べて育ったような定番」をテーマに、「力強い」且つ「繊細」な料理を提供している「超・正統派」トラットリア。