一つの食材に特化して差別化を図る方法

スキルアップ

いま、飲食業界には、テクノロジーの進化によって様々な変化が訪れています。料理を取り巻く最新の動向にくまなくアンテナを張ることは、時流にきちんと乗った料理家への近道です。本連載では、料理にまつわる話題の取り組みや料理教室運営方法のノウハウなどをお伝えしていきます。調理技術を磨くと同時に、情報をアップデートし、“できる料理家”を目指しましょう。

2020年01月21日

第二回は、一つの食材に特化して、差別化を図る方法について。パクチー料理研究家としてレシピ本を多数刊行するエダジュンさんにお話を伺いました。

エダジュンさんは、「パクチーボーイ」の愛称で、 料理教室や企業が主催する料理イベントにも多数出演しています。料理画像をアップしているInstagramのフォロワーは1万6000人、今注目の新進の料理研究家です。2019年12月には、新刊『毎日食べたい!お粥ごはん』(パルコ出版)を発売。テレビや雑誌、Webへの出演のほか、管理栄養士の資格を活かしてIT企業の社員向け食堂を運営するなど、活動は実に多彩です。

料理が大好きだった青年が、料理から離れた

小学校の夏休み。エダジュン少年は、岩手県の町で飲食店を営む親戚の家に行くのが楽しみでした。店内には町の人たちが集まり、談笑しながら食事をして帰っていく。なにげない日常にありながら、すこしだけ特別な食事の時間こそが、エダジュンさんにとっての飲食店の原体験だといいます。

中学生からの憧れは料理研究家・小林ケンタロウさん。レシピだけでなく、料理を誰と。どんな食卓のシチュエーションで食べるかまで表現するケンタロウさんの世界感に、エダジュンさんは、食の世界で働く夢を持ちます。大学では、栄養学を専攻し、在学中からイタリアンレストランでアルバイトも経験。大学卒業後は、当時の外食のベンチャー企業に入社することになりました。

現在は、パクチーのレシピ本以外にも、大学生時代のアルバイトの経験を活かしたパスタ本も発表している。

 

入社から5年ほどは店舗に立ち、新店の立ち上げも。現場で経営、人材育成なども経験しました。そして、いよいよ本社業務に配属されます。商品開発を希望していたエダジュンさんにとっては、念願のステップでした。しかし、店舗と本部の板挟み、部署内でも人間関係で悩む日々。休みなく働く過酷な毎日にとうとう耐えきることができず、退職する決断をします。

「僕もまだ若くて、そこから逃げることしかできなかった。ほろ苦い思い出です」とエダジュンさんは振り返ります。当時、28歳。退職後は、バックパックを背負って日本を離れ、ベトナムに向かったそうです。

1カ月の旅では、現地の人との交流しながら、大好きだったアジア料理にも触れることができました。さらに、自分自身を見つめ直し、これからを考える時間も生まれたといいます。

「ベトナムでは、日本人の方にもたくさんお会いしました。会社経営者さんや落語家さん、漫画家さんなど。自分をもって旅をしている方から刺激を受けるなかで、自分は何に挑戦したいのかを考え直したんです」

そのときに浮かんできたのは、10代のときに夢中になって読んだ小林ケンタロウさんのレシピ本だったといいます。「ケンタロウさんのような世界観を自分も表現してみたい」。こうして料理研究家になって、レシピ本を発売する夢を思い描くようになります。

エダジュンさんが何度も読み返したという小林ケンタロウさんのレシピ本『ドカンと、うまいつまみ』(1999年、文化出版局刊)。巻頭のエッセイの世界観に、感銘を受けたそうです。

 

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撮影/菊池陽一郎 取材・文/江六前一郎

エダジュン

パクチー料理研究家・管理栄養士。1984年東京生まれ。管理栄養士資格取得後、株式会社スマイルズ入社。Soup Stock Tokyoの本社業務に携わり、2013年に独立。「パクチーボーイ」名義でも活動中。

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