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海外でも人気のインスタ投稿術

スキルアップ
2020年03月5日
まるで海外のレシピ本を見ているかのような洗練されたフードインスタグラムを届ける、フードフォトグラファーのELさん。センスのいい写真はため息ものの美しさで、世界中にフォロワーを持ちます。センスあふれる写真の撮り方の秘密や世界観を構築する方法を教えていただきます。

メインを引き立てる、計算され尽くしたスタイリング

撮影時にはどのようなことを考えてスタイリングしているのでしょうか?
「もちろん料理がメインなのですが、小物使いと構図も重視しています。そのために、料理が映える器選びと、雰囲気作りのためのカトラリーなどの小物を、全体のバランスを見て決めています。これをいろんな角度で何枚も撮るので、その中からコレという1枚を決めるのは難しいところでもありますが、最後は自分の直感で決めますね。でもどうしても迷うときは、息子に決めてもらうこともあります。息子も写真を少しやっているのですが、純粋な子供の意見を聞くとなるほどと思うところも多いですね。先入観のない第三者に意見を聞くのもいいと思います」

取材時に伺った日のコーヒーやお菓子を使って、即興でスタイリングを始めてくれたELさん。普段は1回あたりの撮影で、セッティングしてから撮影終了まで30分くらいかかるそう。

 

サムネイルの並びにもこだわる

目を惹くインスタグラムには、絶対的な世界観があるとELさんは語ります。「インスタはブログとは違ってアートボードだと思っています。人気のインスタは、トーンだったり雰囲気だったり色合いだったり、写真の統一感があるんですよね。なので、私も、一枚の写真にあまり色を使いすぎないようにし、できるだけ全体のトーンは落ち着かせて写真集みたいな雰囲気を出すように心がけています。さらに、サムネイルの並びもすごくこだわりがあるので、別アカウントで練習してバランスをチェックするようにしています。写真アプリを使う場合も、同じものを使った方が統一しやすいと思います」

更新するタイミングやメニュー選びにも秘訣があります。
「私のフォロワーは海外の方が多いので、そのあたりも意識しています。日本と海外ではウケる内容が全然違うんですよ。食べ物の写真といっても、日本の方には、今晩使えるリアルなおかずが人気ですが、海外では美味しさより美しさを追求する傾向にあるので、非日常的なスイーツの写真にいいねがつくことが多いです。また、インスタにアップする時間も時差を考慮しています。日本時間で15時過ぎにあげると、大体ヨーロッパでは朝なので、見てもらいやすくなります」

料理に合わせていろんなテイストのお皿を集めているそう。食器は旅先で購入することが多く、ヨーロッパへ行くとアンティークマーケットへ行くのが楽しみだそう。

 

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撮影/田尻陽子 取材・文/岡井美絹子

ELさん

フードフォトグラファー。商社で勤務後、夫との結婚を機に海外へ。その後日本へ帰国し、本格的に写真の道へ進む。英語と日本語で綴られたフードのインスタグラムは、世界中のフォロワーに支持されている。

Instagram:@latelier_del