料理を通じて何を体現するのかが大切
ご主人の転勤によって一度は絶たれた料理の仕事も、ブログをやったり、管理栄養士として健保組合で働いたりと、そのときどきで “料理が好き”という想いでベストの道を歩んできた渥美さんならではの言葉には重みがあります。
「料理家って2タイプあると思うんですね。ひとつは、自分のキャラを立てて勝負するタレント性の高い人、もうひとつは、社会貢献をしたい人。私は後者で、料理を食べる楽しみ、作る面白さ、食事がもたらす健康面などにフォーカスしたいという軸があります。そこが目標なので自身の露出には興味がないんですが、ある程度大きい仕事をもらうためには自分が出ていかないとダメだとわかったので、そこは柔軟に対応しています。とにかく自分の軸をはっきりさせることが大切ですね。自分が売れたいとか、私のこの料理を広めたいという意識だと漠然としていると思います。相手のことを考えながら、柔軟に自分のカラーを出すことがオンリーワンに繋がります。自分の本を出版したいという人もいると思いますが、それによって自分が何をしたいのかだけでなく、誰の役に立てるのかを考え、自分の行動の意味やゴールを明確にすることが大切だと思います。メディアのいいところって、目の前の人だけではなく自分の知らない人に発信していけることなんですよ。料理を通して何を提供できるのか、こういう人に向けて、こんな提案をしたいというビジョンが明確な方がいいと思います」
渥美さんの最新著書『同時に3品作りおき 朝つめるだけ弁当188』(西東社)。「忙しい人でも栄養のことを少しでも考えながら、お弁当作りを楽しんで欲しいという思いを込めて作りました」
行動することが道を開く秘訣
自分が何をしたいのかがわからない・・・、こちらの道で合っているのか、迷いが尽きない人も多いはず。
「何をやるか探すから分からなくなるんですよ。自分の持っているカードで何ができるかを考えるべきなんです。そしたらブレないですよ。踏み出せない人って多いと思うんですけど、そういう人は、いつまでも勉強ばかりしていて行動していないタイプ。慎重派は、まず一歩を踏み出さないとダメですよ。踏み出すのって、最初から完璧を目指さなくても、小さいスタートでもいいと思うんです。私は歩きだしてから考えるタイプ。歩いてダメだったら他の道もあるんだし、誰かの目を意識しなくていいのではないでしょうか。あとは、結果を早く求める人が多すぎると思いますね。成功している人たちは、意外と長いスパンで見ている気がします。視野を広く持って仕事をして、そこで何を経験するのか、3年先の自分を見据えてキャリアを重ねるくらいの気持ちでいいと思いますよ」