料理家としてのInstagram活用術

スキルアップ

いま、飲食業界には、テクノロジーの進化によって様々な変化が訪れています。料理を取り巻く最新の動向にくまなくアンテナを張ることは、時流を捉え活躍する料理家への近道です。本連載では、情報発信ツールの活用法やレシピ開発、料理教室運営方法のノウハウなどをお伝えしていきます。調理技術を磨くと同時に、情報をアップデートし、“できる料理家”を目指しましょう。

2020年03月5日

平日は会社員として勤務しながら、料理家としてのキャリアを着実に築いている井口タクトさん。成功のカギには、インスタグラムでの情報発信がありました。井口さんが考えるSNSの活用の仕方や戦略についてお伺いしました。

趣味の料理写真投稿が仕事に繋がるまで

「母親が料理好きだったことから、幼い頃から食べることが好きだったんです。大学生になって自炊するようになると、居酒屋でキッチンスタッフとしてバイトするようになって、料理することの楽しさに触れることができました。意識が変わったのは、東日本大震災の時に参加した炊き出しです。悲惨な状況でしたが、炊き出しで笑顔になってくれたり話しかけてくれたり。食のパワーってすごいなと実感しました。その経験から、いつか食を体現できる人になりたいなとは思っていました」

料理関係の道を進むのかと思いきや、井口さんが就職先に選んだのは化粧品メーカー。
「その頃は、やっぱり料理人は厳しいイメージが強かったし、生活をするという現実的な面もあって企業で働く道を選んだのは自然なことでした。でも社会人になって料理ができる環境になった時、自分の料理をインスタで発信していこうと思いつきました。当時のトレンドは、ハッシュタグをたくさんつけて、検索の上位に入ったり人気投稿に入るとフォロワーが増えるという仕組みだったので、地道にタグ付けしたりいいねをつけてフォロワーを増やすことを心がけていました。フォロワーが1000人超えると、一気に1万人まで増えて自動的に加速していきました」

自宅兼スタジオには、集めた器がずらり。「作家さんのものが好きなんです。青色の器には意外とローストビーフなんかが映えますね」

 

趣味でやってきたインスタでの料理写真投稿が、思わぬところから仕事へと繋がっていきました。
「最初に料理の仕事を受けたのは、フォロワーが8000人くらいの頃でした。All Aboutでやっていた『男のキッチン』という企画で声をかけていただいたんです。そこで実績と信頼ができたことで注目が高まり、某企業からお酒とおつまみのPRの仕事を依頼されるようになりました。そこから企業からの案件が増えるようになってきましたね」

これからの時代は発信するのは当たり前で、情報はどんどんオープンにすべきというのが信条の井口さん。
「今の時代、どこにいても発信することができるのがメリットです。実は本業の関係で2018年までは宮崎にいたんですが、料理家としての活動が花開いたのはこの宮崎時代でした。最初に料理のイベントの仕事で声をかけてもらって、そこからワークショップやケータイリングなど、仕事の幅がどんどん広がっていきました。東京の企業から仕事の依頼を受けたのも宮崎にいた頃なんです」

 

SNSの特徴や機能をフル活用し、チャンスを広げていく

井口さんは、個人のアカウントのほかに、主催している料理教室のためのFoodies Laboというアカウントを持っています。井口さんならではのSNS活用方法を教えてもらいました。
「Foodies Laboの方は、フォロワーが1200人ちょっとなんですが、料理教室はフォローしないと申し込みできないんです。教室に1200人もの人が興味を持ってくれているという事実がすごく大きいんですよね。料理教室って、ファンの方とのコミュニケーションがとれる場所。行きたいなって思ってもらえるよう、工夫していることがあります。例えば料理教室の募集だと、通常はどんな料理を作るのかを発信するくらいだと思いますが、僕の場合は、どんな人が来ていて、どんな表情で参加しているのかを載せるようにしています。教室の雰囲気って来ていただかないとわかりませんが、あらかじめ写真で見てもらえると、来る人も安心だと思うんですよね」

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撮影/田尻陽子 取材・文/岡井美絹子

井口タクト

化粧品会社に勤める傍ら、フードスタイリスト、料理研究家としても活躍中。趣味で投稿していたインスタグラムの料理写真が評判になり、レシピ執筆や料理イベント講師、ケータリングなどを手がけるように。主催のフードコミュニティ「Foodies Labo」は開催すると即満席になるほどの人気を誇る。

Instagram:@ouchigohan_ojisan
@foodies_labo

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