食育を学びながら、家庭料理をマスター!
品川駅から徒歩7〜8分のところにあるマンションの一室に、軽部日佐子さんが主宰する料理教室「柚木庵」があります。取材にお伺いした日はちょうど年末ということもあり、おせちメニューのレッスン。お雑煮や海老の甘煮など、新年の食卓に並べたいお正月料理を学びます。
まずは座学からスタート。「おせちを購入する方も多いと思いますが、全部作らなくても、家庭の味を1品でも入れていただくと違うと思いますので、ぜひ挑戦してみてくださいね」と、おせち料理へのハードルの高さを下げてくれる一言に励まされます。“食学”を重視している軽部さんは、作り方の説明だけではなく、それぞれのおせち料理に込められた意味やいわれについても、丁寧に解説してくれます。
キッチンへ移動したら、いよいよ調理の開始です。コロナ禍の現在は、軽部さんによるデモンストレーションをメインに、一部、生徒さんによる実習という形で進めていきます。
華やかな菊の花に見立てた「菊花かぶ」は、包丁使いのテクニックが必要な上級メニューのため、美しく仕上げるのがなかなか難しいことも。軽部さんの手にかかれば、“ガムテープで固定した割り箸にかぶを挟んで切る”という裏技で、包丁が苦手な方も上手に仕上げることができます。
レッスンで大切にしていることが、“味見”です。「私の味を舌で覚えておかないと、自宅でわからなくなるんです。味覚をしっかりと鍛えておくことは、欠かせません」と軽部さん。煮詰める前と後の煮汁や、羅臼昆布や日高昆布などさまざまな出汁の味比べなど、そのたびに「全然違うね!」と、生徒さんからも驚きの声が上がっていました。
金柑の甘煮に使う金柑の種取りは、生徒さんたちで挑戦! 軽部さんのお手本通りにしてみるも、「なかなか難しい〜」、「種がどこにあるかわからない〜」と苦戦しながらもなんとか完了。金柑の甘煮は半年から1年は持つそうなので、多めに作るのもおすすめです。
お雑煮は、福岡県八女市で食されているという「博多雑煮」を習います。最大の特徴は、するめいか出汁、あご出汁、昆布かつお出汁の3種類の出汁をブレンドすること。さらに、丸餅や各種野菜のほか、鶏もも肉、ブリといった山海の恵みも入るので、具だくさんなところも魅力的。生徒さんたちで野菜を切ったり、盛り付けたりなど作業を分担しながら、いよいよ完成です!
「こんにゃくのオランダ煮」、「菊花かぶ」、「金柑の甘煮」、「海老の甘煮」、「博多雑煮」、「伊達巻」、「たこ、白菜、りんご 甘酢漬け」のほか、軽部さんが事前に用意してくれた「黒豆」、「きんとん」も添えて、1人分ずつの盛り付けに。ウラジロや水引などのあしらいも、お正月らしい風情をもたらします。