
毎日が変わる! 身近な食材を使ったとびきりおいしい家庭料理
名古屋駅から電車とバスを乗り継いで約1時間半。周囲には高い建物がなく、遠くには山の緑や広々とした青空が望める愛知県小牧市のご自宅で、「cooking LABO :)tsukuru」を主宰する料理家のおかちまいさん。集客にはハンデとなりうる立地のこの料理教室に、全国から生徒が集まっています。その人気ぶりに、2018年末には料理教室運営について綴ったレシピ付きのエッセイ集『即日満席になる料理教室』も出版されました。
「cooking LABO :)tsukuru」が掲げているスローガンは、「食べる人の笑顔は大事。つくる人の笑顔はもっと大事。」。“おいしくて簡単なレシピ”や“オシャレに見える盛り付けや器選び”、“コーディネートのコツ”など、トータルで料理のワクワクを提案するというコンセプトだけを見ると、特段変わったところは見受けられません。では、おかちさんはどのように人気の料理教室を作り上げていったのでしょうか? その秘密を探るべく、とある日曜日のレッスンにお邪魔しました。
この日のテーマは、『ルーを使わないカレーLABO トロトロ牛すじカレー編』。メニューは牛すじカレー、チキンメンチカツ、自家製福神漬け、ひじきと豆のヨーグルトサラダほか全7品。“ルーを使わずにカレーを作る” “メンチを自作して揚げる” “福神漬けを手作りする”などのキーワードからわかるように、おかちさんが得意とする 「簡単でおいしい」と「手間をかけた分、さらにおいしくなる」の2つのパターンを織り交ぜたよくばりな内容となっています。
徹底的に生徒目線に立った、細やかな気配りにあふれたレッスン
まず、教室に足を踏み入れたときに目についたのが、壁に貼られていた料理の写真。こちらは、盛り付けやスタイリング例として、レッスンで作る料理をおかちさんが撮影してプリントしたもの。生徒たちはこれをお手本に、その日どんな料理を作るのかをイメージしながら、作業することができます。
レッスンはレシピの配布からスタートしますが、ここにも見逃せないポイントが。手渡されたのは、1品につきA4用紙1枚に美しくレイアウトされた、料理の完成写真入りのカラープリント。料理の紹介にはじまり、材料、作り方、さらには調理のコツやポイントまでが、まるでレシピ本の1ページのようにわかりやすくまとめられています。自宅で読み返したときに、レッスン当日のことがありありと思い出せる丁寧な解説と、ファイリングして保存・収集したくなるような完成度の高さに感動です。
おかちさんによるメニュー紹介や作り方の講義が行われた後、デモンストレーションと実習へ。牛すじ肉の下処理の仕方から飴色玉ねぎの作り方、圧力鍋の使い方、メンチを失敗なくジューシーに揚げる方法など、一度習ったら一生役立つ調理テクニックが目白押し。「生徒にはできるだけたくさんのことを覚えて帰って欲しい」というおかちさんですが、途中で焦ったり話についていけなかったりといったことがないように、常にひとりひとりに目を配り、わかりやすい言葉を選んで解説し、的確に指示を出していました。また、大事なポイントはすでにレシピに記載されていることも、生徒たちがメモすることばかりに気を取られることなく、レッスンに集中できるひと工夫だと感じました。
笑顔が弾む、安全でおいしい手作りの味
スタートから1時間ほど経つと、料理が続々と完成。ここで盛り付けとなりますが、食器類は色違いで用意され、じゃんけんで勝った人から好きな色を選べるという遊び心も。それによって、生徒は自分の個性を反映できると共に、同じ料理を異なる食器によそったときの印象の違いを見比べることが可能に。
ランチタイムに合わせてすべての料理ができ上がり! メニューは「牛すじカレー&オニオンライス」「チキンメンチカツ」「自家製福神漬け」「ひじきと豆のヨーグルトサラダ」「コールスロー」「クレープ&オレンジソース」と、心もおなかも満足のラインナップ。丁寧に作ったできたてアツアツの料理が、おいしくないはずはありません。
こちらは、生徒たちから「手作りできるとは思わなかった!」との声が多く上がっていた「自家製福神漬け」。根菜を中心に野菜がたっぷり入っています。品種ごとに切り方(ミリ単位での厚さの指定あり!)を変えるのは、食感と食べやすさを考慮した細やかな仕事。「お好みの野菜に変えて楽しんで欲しいメニューですが、なすとれんこんが私の一押し。作り置きにもぴったりです」
この日のレッスンを通じて、なじみのある料理をいつもよりも手を掛けてよそいきの味にしたり、買うことの多い惣菜を自宅で手作りしたりすることで、味が確実にランクアップすることを実感した生徒たち。おかちさんのレッスンに参加したことで、料理の楽しさや奥深さ、充実感に目覚める生徒も少なくないようです。