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和知徹シェフに学ぶ 肉焼きメソッド

イベント
2019年07月15日
「Kai House Club」の会員になると、料理教室主宰者にとって役に立つ特典が、数々用意されています。なかでも支持されているのは、貝印本社(東京都千代田区)内にある「Kai House(カイハウス)」で行われる会員限定の特別セミナー。今回は、東京・銀座のフレンチビストロ「マルディ・グラ」の和知徹さんによるセミナーの様子をレポートします。


ひと皿目が完成したところで休憩時間に。参加者の皆さんは出来上がった料理を間近で見て写真を撮ったり、工程でわからなかったところを和知さんに質問するなどして、休憩時間中も知識の修得に余念がありません。和知さんの多くの著書からもレシピのコツや考え方を学ぶことはできますが、こうして食材や料理を前にしてざっくばらんに意見を聞けるのは、イベントならではの楽しさです。

後半は、メインのラムのオーブン焼きのレクチャー。事前に肉にはまんべんなく塩をしておきますが、この塩加減が重要、と和知さんは言います。
「厚みのある肉なら肉の1%、薄い肉なら0.8〜0.9%。羊自体が出汁となって、塩だけで味わう料理だからこそ、塩加減で味が決まります」

さらに、オーブンで焼く前には、肉の脂身、肉、骨側の3面を約2分ずつ焼いておくのが和知さんのスタイル。
「この工程を挟むことで肉汁がまんべんなく回り、さらに風味が豊かになるんです」。
その後オーブンで焼くのですが、この温度設定や焼き加減、寝かせ時間にも独特のコツが満載です。「焼き加減を確認するには色、弾力、肉の内部の温度、肉汁の様子など、いくつかのポイントがありますが、重要なのはひとつの軸で判断しないことです」と和知さん。今回はひと皿を参加者の皆さんに回し、実際に指で触れて“ちょうどいい焼き上がり”を確認することができました。

調理の手を進めながらも、肉旅での思い出やこれから出版予定の著書についてなど、楽しい裏話も飛び出します。

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

講師
和知 徹(ワチ トオル) さん
1967年、兵庫県淡路島生まれ。高校卒業後に辻調理師専門学校に入学。翌年、同校のフランス校で研修し、ブルゴーニュの一つ星レストラン「ランパール」で修業。帰国後、「レストランひらまつ」に入社し、在職中にパリ「ヴィヴァロワ」で研修したのち、ひらまつ系列の飯倉片町「アポリネール」の料理長に就任。2001年に独立し、東京・銀座に「マルディ・グラ」をオープン。

「Kai House Club(カイハウスクラブ)」
正式名称は「Kai House Culinary Artist Club(カイハウス・カリナリーアーティスト・クラブ)」。貝印が運営する“料理家のコンシェルジュ”をコンセプトとしたメンバーズクラブ。さまざまな特典があり、今回ご紹介の「Kai House Club」主催のイベントやセミナーへの参加など、料理家に役立つ情報や経験が満載。入会資格は「現在、定期的に料理教室を主宰していること」。