
まずは、料理家に必要な“思考”と持つべき“目線”を解説。スタイリングに向き合うための心構えは、テクニックと同じくらい大事であることに気づかされます。そして、小物の使い方、並べ方、置き方、組み合わせ方、入手方法などのノウハウを、具体例とともに紹介。食器の形・サイズ別の使い分け、ナプキン使い、料理の背景の違い、色の考え方、質感を味方にする方法、さらにはスタイリングした料理を自分で撮影するコツなど、今まさに料理家が知りたいルールやアイデアを惜しげもなく伝授。参加者たちは熱心にペンを動かし、ひと言も漏らさないようにとメモをとり続けていました。
また、シーン別のスタイリングを考察するパートでは、企業からの依頼や雑誌の仕事など、フードスタイリングにおける適材適所といった概念を、小坂さんの経験談を交えてレクチャー。これは、料理家としての幅を広げていきたい参加者たちにとって、大変貴重な講義となったようです。
続く小坂さんによるデモンストレーションでは、同じ素材を使って2つの異なる世界観を作る方法を、2つのパターンで披露。1つ目は、料理写真やSNSで映える参考例として、同じ食器とスープを使って行ったこちらのフードスタイリング。背景とパンの切り方、小物を変えることで、温かみのあるテーブル(写真上・左)とクールでおしゃれなテーブル(写真上・右)を演出しました。
2つ目は、同じシンプルな白いお皿を使ったテーブルコーディネート。夏(写真上・左)と冬(写真上・右)をテーマに、色と小物使いで正反対の季節を表現しています。料理教室では、自宅にある食器を使ってレッスンする料理家がほとんどだと思いますが、食器をたくさん買い揃えなくてもバラエティーに富む世界が作れることを実感できたのは、大いなる収穫だったのではないでしょうか。
最後の実習では、参加者が4つのグループに分かれ、それぞれ「和食」「洋食」「パン」「スイーツ」をテーマにスタイリングし、それを小坂さんが評価。どのグループも、小物選び、色合わせ、全体のバランスなどその完成度は高く、課題の意図をしっかり読み取った表情あるスタイリングに、プロの小坂さんも感心しきりでした。参加者たちはセミナーに足を運ぶ勉強熱心な料理家だけあり、日頃から料理に加えてスタイリングや写真の腕を磨いていることが、うかがい知れました。