
「厨房内のスタッフも多く作業が分業化されていることが多いレストランと異なり、ビストロでは、食材から調理まで全体的に目を配る必要があり、そのため、ひとつひとつの処理や素材感を生かす工夫がとても大切。これは家庭料理にも通じていて、ビストロと家庭料理はニュアンスが近いんです」と島田シェフ。本格的なフレンチでありながら、それらの理論を学ぶことで、家庭でも応用できる数々の貴重なテクニックを習得することができました。
身近な食材で作れるおもてなし料理
セミナーで習った料理の一部を紹介しましょう。前菜は、島田シェフがお店をオープンした当初からの人気メニューのひとつ「野菜のテリーヌ」。具材は歯ごたえを残し、ゼラチンではなくプレス式で固めるテリーヌで、野菜の本来の香りと食感を最大限に活かしています。島田シェフが修業をしたパリの名店「アルページュ」のオマール用のソースが発想の源になったという、はちみつとシークワーサーのソースを添えて。
「チキンソテー コリアンダー風味 ラタトゥイユ添え」では、鶏もも肉をおいしく食べるための正しい切り方、下処理、焼き方を順番に解説。ちょっとしたひと手間で仕上がりに差がつくプロならではのポイントは、身近な直材であるがゆえに、まさに目からうろこが落ちるような思いを味わう参加者が続出しました。付け合わせのラタトゥイユでも、野菜のうま味を最大限に引き出すテクニックが存分に披露されました。
セミナーの最後は、この日習った料理の試食です。この時間は「Kai House Club」会員同士の交流の場にもなっていて、セミナーに参加するうちに顔なじみになった会員同士が再会を喜んだり、初対面で意気投合した会員同士が情報交換の会話を楽しんでいたりと、勉強の場とは思えない和やかな空気に。堅苦しいセミナーというよりも、本格フレンチとワインを楽しみながらプロのテクニックを学べるスペシャルな食フェスとでも呼びたくなる、まさに「Kai House Club」ならではの特別企画でした。