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料理家におけるマインドフルネス

スキルアップ
2018年11月19日

昨今話題の「マインドフルネス」という言葉、聞いたことはありますか? 好感度の高い人というのは、急に感情的になったり不機嫌を表に出したりするようなことはなく、いつも気持ちが安定しているように見えるもの。でも、仕事をしていく中では、時にはタイトなスケジュールや無理難題に四苦八苦することもあるし、プライベートの嫌な気分を引きずってしまうこともあるでしょう。そんなときはどうすればいいのでしょう? そこで、Googleで開発されたマインドフルネス研修プログラムSIYの日本人女性初の認定講師、木蔵シャフェ君子さんに、話を聞きました。
>>パーソナルカラーでセルフプロデュース!

ビジネスパーソンとして考えるセルフリーダーシップの重要性

木蔵シャフェ君子さん
毎日ポジティブに頑張っていても、思うようにいかなくて落ち込むこんだり、予想外のトラブルに巻き込まれたりということは誰にだってあるもの。フリーランスで仕事をしているなら、愚痴を聞いてくれる相手も、手助けしてくれる人もいなくて行き詰まってしまうこともあるかもしれません。そんな中でも、いつも揺らぐことなく、穏やかでハッピーな人でいられたらどんなに素敵でしょう。実はそんなマインドを手に入れる秘訣があったのです。一般社団法人「マインドフルリーダーシップインスティチュート(MiLL )」の理事であり、シリコンバレーを拠点に、「Google」や「P&G」など、世界の名だたる企業でマインドフルネスの大切さを伝えている木蔵シャフェ君子さんに、お話を伺いました。
「皆さんは料理家として、“好きなこと”を仕事にしていると思いますが、ビジネスとしてやっていくためには好きなことだけでは完結せず、自分の志をどうやって全(まっと)うするか、そのプロセスを常に考えなくてはいけないと思います。その中で大切なのが、自分のご機嫌をいかに己でマネージできるかということ。それは言い換えれば“セルフリーダーシップ”をとるということです。それさえできれば、その人の魅力は自然と内側から湧き出てきて、それは周囲の人の目に心地よく映るものなのです」

シャイな人でも、自分らしくいることで好感度は高まる

木蔵シャフェ君子さん
ではご機嫌の良い人というのは、どういう人なのでしょうか?
「機嫌の良さというのは、別にハイテンションだったり、大笑いしていたりすることで生まれるものではありません。シャイな人や思慮深い雰囲気の人もいますが、そんな方でも、その人自身が自分をきちんと受け入れた状態であれば、周囲の人の目には好ましく映るはずですし、その人が内に秘めたパッションはちゃんと相手に伝わるものだと思います。逆に、本来の自分以上に明るく元気よく見せようと無理をして振る舞うと、その違和感が相手に伝わってしまうのではないでしょうか」
自分はそんなに社交的じゃないし口下手だから、不機嫌そうに思われがち……、と思っていた人には朗報かもしれません。
「実はこの“自分自身の今の状態を受け止める”ということが、マインドフルネスなのです。私たちはついつい、自分の欠点や苦手意識、これから起こる物事に意識が向きがちですが、それに対しても無理に“なくそう”“気持ちを変えよう”とコントロールしようとせず、その時の焦りや居心地の悪さを感じて、少しそこに寄り添い、その後にそっと手放す、という気持ちでいることが大切です」

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

お話を聞いた人:
木蔵シャフェ君子さん●ぼくら・しゃふぇ・きみこ●一般社団法人「マインドフルリーダーシップインスティテュート(MliLI)」理事。カリフォルニア・サンタクルーズ在住。ICU卒業後ボストン大学MBA取得。P&G、LVMHなどにてブランドマネジメントに携わったのち、独立、渡米し、医療コミュニケーション研修会社経営。その後グーグルで開発されたマインドフルネスプログラムSIYの日本人初の講師に認定され、日本のビジネスにマインドフルネスを広めている。