特集記事

料理家におけるマインドフルネス

スキルアップ
2018年11月19日

昨今話題の「マインドフルネス」という言葉、聞いたことはありますか? 好感度の高い人というのは、急に感情的になったり不機嫌を表に出したりするようなことはなく、いつも気持ちが安定しているように見えるもの。でも、仕事をしていく中では、時にはタイトなスケジュールや無理難題に四苦八苦することもあるし、プライベートの嫌な気分を引きずってしまうこともあるでしょう。そんなときはどうすればいいのでしょう? そこで、Googleで開発されたマインドフルネス研修プログラムSIYの日本人女性初の認定講師、木蔵シャフェ君子さんに、話を聞きました。
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ご機嫌でいられない! そんな気分に効く処方箋

木蔵シャフェ君子さん
とはいえ、思考の癖というのは簡単には治りません。なかなか「マインドフルネス」の状態に入れなかった時、私たちはどうすればいいのでしょうか? すぐに取り入れられるヒントを伺いました。

  • やらなければならないことが多すぎて焦ってしまう

そんな時はまず、「計画する」という時間をきっちり確保するようにしましょう。そしてその計画を実行するときには、“私はちゃんと計画したから大丈夫”と自信をもち、他の時間の予定に引きずられずに、その時やるべきことに集中するようにすれば、焦る気持ちは消えていくといいます。

  • 周囲の人がSNSに公開する華やかな投稿を見ると落ち込んでしまう

SNSでは大抵、華やかな情報しか入ってこないものです。それがあなたにとって「良い情報を得た、役立てよう」とプラスで取り組めるものなら良いのですが、それらを見ることによって自分の気持ちや行動にどんな変化が生じているかに注目してみてください。その結果、必要ないと判断できるようなら、SNSとは少し距離を置いた方がいいでしょう。

  • 頑張っているのにいい結果が出ず、将来が不安

今は自分にとって素晴らしい状態ではないと感じる時期があるかもしれません。そんなときこそ、将来自分が思い描くゴールへの小さな芽を発見できたり、将来を方向づける重要なベクトルが隠されていることもあります。今辿り着いた“結果”だけでなく、目の前にあるものすべてを受け止めることで、それに気づくことができるかもしれません。

  • 嫌な目に遭って、気分が切り替えられない

起きてしまったことを変えることはできませんが、そこから先はベストを尽くすしかありませんね。そのために効果的なのが、起きたことに区切りをつける方法です。まず起きたことに対して①「大変だった」と受け止め、次に②「あの瞬間、自分にはあれ以上のことはできなかった。あのときにできたことはすべてやった」と認め、最後に③「あのことはもう終わった。今はもう別の時と場だ」と心を切り替えます。深呼吸をしながら、ひと呼吸ごとに①〜③を行うとよいでしょう。引き続き処理すべき業務が発生していたとしても、それらに対しては新しい別の仕事のつもりで取り組みましょう。

「自分というプログラム」を常にメンテナンスする習慣を

いくらマインドフルネスのトレーニングを積んでも、思いがけないアクシデントは相変わらず起きるでしょうし、人間として必要な喜怒哀楽を失くしてしまうことを目指す訳ではありません。ただ、自分が望んでいない感情や思考が浮かんできた時に、それらに引きずり込まれることなく、また元の場所に戻ってこられる自分になることが真の目的です。大事なのは、ネガティブな感情が沸き起こっても、そこには反応せず、自然に変わっていくのに心を任せるということです。逆説的に聞こえるかもしれませんが、心というのは「変えようとしないことで変わっていく」力があるといいます。
とはいえ、私たちの思考は日々上書きされていきますから、またつい、ネガティブな思考に支配されてしまうこともあります。だからこそ定期的に立ち止まって、リセットする必要があると木蔵さんは語ります。
「自分をマネージメントするということは、自分というプログラムのメンテナンスをすること。1日5分、10分でもいいので“何もしない時間”や、“マインドフル瞑想”の時間をもち、“今・ここに集中する時間”を心がけてみてください。それがマインドフルネスのトレーニングなのです。継続することで、いつもネガティブな感情に深く引きずられることなく、自分らしく過ごせるようになっていくはずです」

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撮影/山下みどり 取材・文/吉野ユリ子

お話を聞いた人:
木蔵シャフェ君子さん●ぼくら・しゃふぇ・きみこ●一般社団法人「マインドフルリーダーシップインスティテュート(MliLI)」理事。カリフォルニア・サンタクルーズ在住。ICU卒業後ボストン大学MBA取得。P&G、LVMHなどにてブランドマネジメントに携わったのち、独立、渡米し、医療コミュニケーション研修会社経営。その後グーグルで開発されたマインドフルネスプログラムSIYの日本人初の講師に認定され、日本のビジネスにマインドフルネスを広めている。