特集記事

「宣伝会議」編集長に聞く HP作成 

スキルアップ
2018年08月6日

フリーランスとして働くスタイルを選んだ時、きっと一度は考えてみたことのある課題、「ホームページって必要?」について考える今回。SNSなど、簡単に発信できる個人メディアが増えた今、果たして本当に必要なのでしょうか。また、ホームページ開設時のポイントや活用方法とは? そこで、雑誌「宣伝会議」の編集長、谷口優さんにお話を伺いました。「毎日更新しているけれどこれで効果が出ているのか不安」という方や、「基本フォームは作ったけれど開店休業状態」という方、最初の一歩を踏み出すために必読です!

ホームページ作成のコツ② 「誰に向けたホームページ?」を意識したイメージ作り

さらに、自分の強みや伝えたいメッセージを考えることも大事だけれど、「誰が見ているか、誰に見てほしいのかを意識することも重要」と谷口さん。
「例えば個人のお客様に見てほしいのか、同じ個人客でも、近所に住む人々なのか世界中の人なのかと、具体的にイメージする方が良いでしょう。日本に住む外国人向けの料理教室という発想もあるかもしれません。ターゲットによってデザインもコンテンツの内容、そして文章のトーン&マナーも変わってきます。個人客を対象にしている場合、HPの雰囲気も手作り感がある方が好まれるケースもあります。しかしその一方、HPは主に、出版社や企業などの法人客に対する信頼獲得のため、あるいはそういったクライアントとの取引の窓口と考える人もいるでしょう。その場合は、信頼感を高める見せ方やあなた自身のこれまでのキャリアがわかるような表現方法が重要になるかもしれません。自分が狙うターゲットはどこにあるのかをよく考え、戦略的にコンテンツやビジュアルを構成することが重要なんです」

ホームページ作成のコツ③ 問い合わせや申し込みがしやすいHPを目指そう

またHPの利便性のひとつに、問い合わせや取材申し込み、仕事依頼、料理教室の参加申し込みなどを受け付けるオフィシャルな窓口、という特徴がありますが、これもユーザビリティ(使いやすさ)次第では大きな差につながる、と谷口さん。
「そこに記載されているのが電話やファックス、メールアドレスだった場合、残念ながらダイレクトで有効なアクションツールと呼ぶには、まだ足りないかもしれません。問い合わせフォームや申し込みボタンがあるなど、面倒な手順を踏まずに収益につながる窓口を搭載しておくことで、“集客ツール”としての価値が生まれるのです。また、お問合せをした後、なかなか返事が来ないとお客さまは不安になるもの。即座に対応ができないようであれば、問い合わせからどれくらいの期間で返答があるのか、目安を明示しておいた方がていねいです」

谷口優さん個人のHPは、ストック型の情報発信場所としても活用できる

また、個人にとってのHPは「ストック型の情報発信ツールとしても、特に料理家の方にとってはメリットがあるのでは」と谷口さん。
「レシピを例にとると、HPは情報発信ツールとしてとても利便性が高いと思います。というのもレシピはファッションなどのトレンドニュースと違い、10年、20年前のものでも、見る人にとっては価値を持つものだからです。みなさんの中にも、母の代から譲り受けたレシピ本などを大切にしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。盛り付けや食材などに多少トレンドがあったとしても、基本的にレシピはコンテンツとして古びることがありません。むしろ蓄積していくことで、食材別・季節別・カロリー別など、充実した検索方法が可能になるとも言えます」

なんとなく作成するのはNG! 個人ホームページを作成する時のポイント

さらにHPの活用方法として、ソーシャルメディアのように、フロー型の情報発信で集客に結びつけるという方法も谷口さんが提案してくれました。そのひとつがコンテンツマーケティングという手法です。コンテンツマーケティングとは、ターゲットに合った記事を継続的に掲載することで見込み客との関係性を作り、最終的に購買へとつなげる考え方のこと。
「HP上で、食に関する有益で魅力的なコンテンツを発信し続けることで、メディアの方やメーカーの方、料理教室の生徒の方から食の専門家としての信頼の獲得につなげることができます。ある程度の情報量が集まればそれ自体が価値のあるものになりますから、これもHPのもつストック型情報発信の長所と言えるでしょう」

1 2 3 4

撮影/田村浩章 取材・文/吉野ユリ子

話を聞いた人 谷口優さん(Yu Taniguchi)
宣伝会議 出版・編集事業取締役、月刊「宣伝会議」編集長/社会情報大学院大学 准教授。2000年早稲田大学卒業後、宣伝会議に入社し、月刊『宣伝会議』編集部配属に。月刊『環境ビジネス』・月刊『編集会議』編集長、月刊『宣伝会議』副編集長を経て、2007年10月より編集長。