また日本語・外国語といった言語の壁だけでなく、言葉そのものが生み出す“マイナス要素”からも自由になったと石井さんは考えます。
「今でこそ“インスタ疲れ”などという言葉も生まれましたが基本的なあり方として、ツイッターが、今も頻繁に“炎上”が起きるなど言葉を使うゆえの揚げ足取りやネガティブコミュニケーションが生まれやすい状況なのに対し、インスタグラムは余計なことを言わない、また言われないスマートさや気軽さがあります。言葉を考える必要も少なく、ただ写真を撮ってUPするだけの、簡単さ・手軽さも魅力として挙げられるでしょう」
言葉をあえて重要視しなかったことがインスタの勝因と言えそうです。
「もうひとつ言えるのは、インスタが形を変え、進化し続けていること。現在では、ストーリーという“消えていくショート動画”機能を備え、さらに最大1分までのロング動画が投稿できる『IGTV(アイジーティーヴィ-:インスタグラムテレビの略)』も登場。これがユーチューブを飲み込むほどの注目となっています」
それまでのSNSにはなかったスタイルで登場しただけでなく、日ごろから常に新しい体験や機能を提供し続けているのがインスタグラムなのです。
今からインスタグラムをビジネスに生かしたいならストーリーやIGTVの活用を
とはいえ、すでに注目されているインスタグラマーは何万人というフォロワーを抱えていて、新参者の自分が努力をする意味があるのかと不安に思う人もいるかも知れません。その思いに石井さんはこんな回答をくれました。
「確かにSNSは、ユーザー側の先発優位性が高いメディア。先に始めた人ほど簡単に人気を獲得することができる傾向にあります。プレイヤーが増えれば増えるほど、少々の魅力では埋もれてしまうのが市場というもの。そしてこの先もずっとインスタグラムが首位を守り続ける保障はありません。常にアンテナを張り巡らし、何か流行りそうな兆しのあるSNSがあれば“とりあえず始めておく”ことは大事でしょう。しかもインスタグラムは先に述べたとおりクローズなメディアですから、言ってしまえばただの箱。それ単体で集客をしたり情報拡散することはできません。インスタ × ツイッターなど、他のSNSとの組み合わせが必要になりますから、いくらインスタが注目されているといってもインスタだけで完結しようとせず、他のメディアとうまく組み合わせて相乗効果を図りつつ、次なるメディアにも仕掛けていくフットワークの軽さは必須です」
またインスタグラム自体にもっとパワーをつけたいならこれからの時代はやはりストーリーやIGTVをすべき、と石井さん。「手間は増えるけれど、インスタで出遅れた人にも、インスタ内での先発優位性を獲得できるチャンスとも言えます。これからという人は必ずやるべきでしょう」
アカウントのコンセプトを明確にすることからスタート
では具体的にどのようにビジネスで役立てれば良いのでしょうか。
「ただやみくもに続けていてもナンセンス。後発組でも、例えば黒柳徹子さんのように知名度や信用のある方なら何をアップしても注目されますが、一般の人がビジネスに活用したいと思うなら、徹子さんと同じスタイルでは成功しません。私たちが企業にSNSコンサルティングをするときも、まずはアカウントのコンセプト、テーマを明確にします。誰に対してコミュニケーションをするのか、何を思ってもらいたいのかが重要です」
当たり前のようでいて、多くの企業で意外にこれが実践できていないと石井さんは言います。
「フリーランスだとしても、ビジネスにインスタグラムを活用したいと思うなら同じこと。個人アカウントとビジネス用を共通で使っている場合も、あらかじめ個人を出す割合は何割程度に留めるなど設定しておいてもいいかもしれません。親しみをもってもらおうとして日常を切り取ったようなゆるい投稿をする方もいらっしゃいますが、フォロワーを増やすという観点においては、まずは有益な情報を発信することのほうが優先順位が高いでしょう。特にフォロワーの少ないうちは、アカウントの信用性を高めるためにも、ブランドコンセプト、企業メッセージに合ったものをわかりやすく発信していくことが重要です」