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SNSアドバイザー直伝インスタ活用法

スキルアップ
2018年10月8日

まるでひとつのウェブマガジンを持つように、写真で自分自身のスキルや感性を全世界に発信することができるSNSは、今やビジネスの必携ツール。個人で事業を行っていたり、視覚に訴えることのできるものを仕事にしている料理家の皆さんにとっては、なおのことです。今回は、企業のSNSコンサルティングを行い、国内外のインスタグラマーの動向などもよく知る、SNSアドバイザーの石井リナさんに、インスタグラムを中心とするSNSをビジネスで活用する方法を伺いました。

また日本語・外国語といった言語の壁だけでなく、言葉そのものが生み出す“マイナス要素”からも自由になったと石井さんは考えます。
「今でこそ“インスタ疲れ”などという言葉も生まれましたが基本的なあり方として、ツイッターが、今も頻繁に“炎上”が起きるなど言葉を使うゆえの揚げ足取りやネガティブコミュニケーションが生まれやすい状況なのに対し、インスタグラムは余計なことを言わない、また言われないスマートさや気軽さがあります。言葉を考える必要も少なく、ただ写真を撮ってUPするだけの、簡単さ・手軽さも魅力として挙げられるでしょう」
言葉をあえて重要視しなかったことがインスタの勝因と言えそうです。
「もうひとつ言えるのは、インスタが形を変え、進化し続けていること。現在では、ストーリーという“消えていくショート動画”機能を備え、さらに最大1分までのロング動画が投稿できる『IGTV(アイジーティーヴィ-:インスタグラムテレビの略)』も登場。これがユーチューブを飲み込むほどの注目となっています」
それまでのSNSにはなかったスタイルで登場しただけでなく、日ごろから常に新しい体験や機能を提供し続けているのがインスタグラムなのです。

今からインスタグラムをビジネスに生かしたいならストーリーやIGTVの活用を


とはいえ、すでに注目されているインスタグラマーは何万人というフォロワーを抱えていて、新参者の自分が努力をする意味があるのかと不安に思う人もいるかも知れません。その思いに石井さんはこんな回答をくれました。
「確かにSNSは、ユーザー側の先発優位性が高いメディア。先に始めた人ほど簡単に人気を獲得することができる傾向にあります。プレイヤーが増えれば増えるほど、少々の魅力では埋もれてしまうのが市場というもの。そしてこの先もずっとインスタグラムが首位を守り続ける保障はありません。常にアンテナを張り巡らし、何か流行りそうな兆しのあるSNSがあれば“とりあえず始めておく”ことは大事でしょう。しかもインスタグラムは先に述べたとおりクローズなメディアですから、言ってしまえばただの箱。それ単体で集客をしたり情報拡散することはできません。インスタ × ツイッターなど、他のSNSとの組み合わせが必要になりますから、いくらインスタが注目されているといってもインスタだけで完結しようとせず、他のメディアとうまく組み合わせて相乗効果を図りつつ、次なるメディアにも仕掛けていくフットワークの軽さは必須です」
またインスタグラム自体にもっとパワーをつけたいならこれからの時代はやはりストーリーやIGTVをすべき、と石井さん。「手間は増えるけれど、インスタで出遅れた人にも、インスタ内での先発優位性を獲得できるチャンスとも言えます。これからという人は必ずやるべきでしょう」

アカウントのコンセプトを明確にすることからスタート


では具体的にどのようにビジネスで役立てれば良いのでしょうか。
「ただやみくもに続けていてもナンセンス。後発組でも、例えば黒柳徹子さんのように知名度や信用のある方なら何をアップしても注目されますが、一般の人がビジネスに活用したいと思うなら、徹子さんと同じスタイルでは成功しません。私たちが企業にSNSコンサルティングをするときも、まずはアカウントのコンセプト、テーマを明確にします。誰に対してコミュニケーションをするのか、何を思ってもらいたいのかが重要です」
当たり前のようでいて、多くの企業で意外にこれが実践できていないと石井さんは言います。
「フリーランスだとしても、ビジネスにインスタグラムを活用したいと思うなら同じこと。個人アカウントとビジネス用を共通で使っている場合も、あらかじめ個人を出す割合は何割程度に留めるなど設定しておいてもいいかもしれません。親しみをもってもらおうとして日常を切り取ったようなゆるい投稿をする方もいらっしゃいますが、フォロワーを増やすという観点においては、まずは有益な情報を発信することのほうが優先順位が高いでしょう。特にフォロワーの少ないうちは、アカウントの信用性を高めるためにも、ブランドコンセプト、企業メッセージに合ったものをわかりやすく発信していくことが重要です」

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撮影/田上浩一 取材・文/吉野ユリ子

話を聞いた人 BLAST代表取締役社長/編集長 石井リナさん(Rina Ishii)
新卒でオプトへ入社し、Web広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。初のInstagramマーケティング書籍となる「できる100の新法則Instagramマーケティング」を共同執筆するなど、デジタルプロモーションを中心にライターや、セミナー講師としても活動を広げている。その後、リアルイベントにおけるSNSプロモーションを行うSnSnap(エスエヌスナップ)にて、自身が編集長を務めるオウンドメディア「COMPASS(コンパス)」を立ち上げ、運営を行った。現在は起業し、女性向けエンパワーメント動画メディア「BLAST」の立ち上げ、運営を行う。学生時代より雑誌「ELLE girl」のラボプロジェクトにてリアルイベントの企画や運営に携わるなど、若年層マーケティングを得意とする。