「タテ社会」を念頭において会話ができるか
実際のビジネスシーンでは、この発想はどんなふうに反映されるのでしょうか。さらに具体的な例を挙げてもらいました。
「男語はタテ社会、女語はヨコ関係をベースにしています。女性にとっては、最終的に生徒さんや参加者の方の満足や幸せがいちばんの喜びでしょう。そのために企画チーム一丸となってみんなで素敵なものを生み出そうとするのも当然です。けれどその発想は、男性には甘い幻想のように聞こえてしまうのです。一方の男性は、そのプロジェクトを勝負に見立てます。競合企業にいかにして勝つか、より多くの集客や売り上げにつなげる方法を計画し、さらにメンバー一人一人がその中でどんな役割を担うかを明確にします。企業内の上司部下、クライアントと代理店と制作スタッフなど、すべてを上下の関係で捉えていて、その中で誰のジャッジを軸にするかを瞬時に見分けます」。
ゴールの設定もチームの捉え方もこれほど違うということを知れば、相手の思考に則った発言が重要だということがよくわかるでしょう。
褒め言葉にも「数値化できる褒め方」がある
例えばイベントの当日、施設に訪れた時の感想ひとつとっても、男語と女語では違ってくると五百田さんは言います。
「女語では “素敵ですね!”“イメージ通り!”“お客さん喜んでくれそうですね”といった表現が褒め言葉になりますが、男語ではそれは意味のないコメントです。その代わりに、“さすが、立派なステージですね!”“広い会場なのに満席ですね”“これはバズりますね”といった、数値化でき、成果や結果として残るような表現で心を掴む傾向があります」。
仕事相手との会話、メールの書き方ひとつでも、この発想をベースに言葉を選ぶと、単なるお飾りのクリエイターではなく、対等なビジネスパーソンだと思ってもらえて、さらに別の企画などに発展するかもしれませんよ、と五百田さん。
女語を意識するなら「共感」をキーワードに
一方、普段の教室や登壇イベントなどではどのように振る舞えばよいのでしょうか。「これまでの話を読んで、自分は女語の発想になってしまいがち、と感じている方なら、普段通りにやっておけば問題ありません。逆に、仕事だとつい堅苦しくなってしまうとか、生徒さんとの距離が一向に縮まらず生徒が定着しない、といった悩みを抱えているなら、意図的に女語を取り入れるといいでしょう」。