
先生はどんな人?
もともと料理が好きで、さまざまな料理教室で学んでいたという軽部さん。銀座で通っていた教室で腕を見込まれ、料理講師をしていたものの、自宅で教室を始めることになるとは全く考えていなかったそうです。
「知り合いのお嬢様が、花嫁修行に料理を学びたいということで、自宅で教え始めたのがきっかけでした。そのうち、友人たちが次々と“私も習いたい!”と言ってくれて、2013年から教室をスタートしました。料理好きになったのは、2人の叔母が料理研究家でもあり、小さい頃から叔母たちが作るさまざまな料理に触れていたのも大きかったのかもしれません。子どもながら、料理もお菓子も自分で作ってみたりするのが好きでしたね」
レッスンでは、ただ作り方を教えるのではなく、“食育”を大切にしているそうです。
「日本の食の文化や歴史、食材のことや、その食材を育んでくれている生産者さんたちのことまでお話するように心がけています。ただ食べるだけではなく、いろんな方たちによって食が支えられて、命をいただいていることを知っていただくようにしていますが、そうするとでみなさんの意識も変わってくるんですね。生産者さんのことまで目を向けるようになることで、上質なものをたくさん作っていただけるようになります。また、外食ですと、甘い、しょっぱいなどがはっきりとしていて、素材の味というよりも調味料の味が先に立っていると思いますが、上質な食材、本物の味を知っていただきたいという思いがありますので、私のレシピは、あえてやさしい味付けにしています。
長年通っている生徒さんも多いようですが、毎月のレシピを考案する上で苦労はありますか?
「教室が開講して以来、最初からずっと通ってくださる生徒さんもいるので、レシピは絶対同じにはできないですね。でも、時代に合わせてレシピもアップデートしていて、たとえば今年のおせちでは、定番の車海老の甘煮を今風にアレンジしたり、きんとんのさつまいもの種類を変えたり、薄味にしたり、飽きないように工夫をしています。もちろん、私自身も常に学びは続けていて、今でも『吉兆』や『よし邑』などの料理教室へ足を運んで、学びを深めています。プロは、その時代の先端をとらえていらっしゃるので、本当に勉強になりますね」