入江麻以さん主宰「和菓子スクールMissWagashi(ワガシスクール ミスワガシ) 」【人気料理家のレッスン拝見】

料理教室を主宰する先生たちがメンバーの「Kai House Club」には、個性豊かな料理家たちが多数所属。特色を活かしたレッスンで多くの生徒を集める現場にお邪魔し、その人気の秘密を探ります。料理教室を探している人はもちろん、料理教室を主宰する先生たちにとってもヒントになる要素が満載です。

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2019年05月6日

外国人向けと日本人向けのふたつのクラスを設定

東京・代々木上原の閑静な住宅街に佇むマンションの一室。そこが今回お邪魔する和菓子スクール「MissWagashi」です。小田急線の急行が停まる代々木上原駅から徒歩で10分程度という好立地。帰国子女でバイリンガルということを生かして主宰者の入江麻衣さんが開催している外国人向けの日本料理・和菓子教室は、口コミで生徒は引きも切らず。日本人向けの和菓子教室も、都内に和菓子クラスが少ないことも手伝い、こちらも順調に集客できているといいます。

現在、外国人向けと日本人向けのクラスは、割合でいうと7対3。そう、外国人向けのクラスのほうが多いのです。このところ訪日客数はうなぎのぼりで、都心の繁華街で外国人を見ない日はありません。しかし、刺激的な東京も、意外に英語による体験型観光名所は少ないもの。そんな時に季節を映した美しい和菓子を作ってみたいというニーズが生まれるのも道理。それに応える形で入江さんの教室は注目を集め、体験した人がSNSで発信、口コミでどんどんつながるというハッピー・ループがすでに出来上がっています。

参加した外国人の母国語は英語、中国語、韓国語のみならず、アジア各国から欧州にいたるまでまんべんないとのこと。まさにSNS時代の教室のあり方だといえそうです。

 

作業台を囲んで、全員が順に手を動かすレッスン

取材したレッスンは、日本人向けの和菓子クラス。4名の生徒と共にキッチンの作業台を囲んで行われます。レッスンの進め方は日本人、外国人共に同じですが、内容が変わります。日本人向けは様々な種類の和菓子の中から季節ごとにメニューを変えて2種類。外国人向けは練りきりだけにし、美しい色合いと四季に応じたデザイン性の高いものを提案することにしているそうです。

全員がテーブルに着席したらまず、2種類の和菓子についての説明をします。どんなお菓子なのか名前や作り方について、季節のこと、今回の材料のこと、そしてこれからの手順など。一通り説明を終えたらキッチンの作業台に移り、いよいよ作業開始。

今回は2種類とも寒天を使用した和菓子がテーマ。ひとつは桜の塩漬けを浮かべた羊羹と、桜あんを包んだ練り切りです。家庭でも扱いやすい粉寒天を使いますが、棒寒天や糸寒天などを使う際の注意や粉寒天を選んだ理由についても説明されます。また、鍋を火にかける前や、火にかけた後の重要なポイントについても、次々に入江さんが説明を加えていきます。

「はい、では鍋に粉寒天を入れてください」という指示に従って粉寒天を入れるのは生徒。手の動かし方を見て先生がアドバイスを加えるなどコツがしっかり伝えられていきます。完全な実習形式でなくとも、手を動かす機会があればより覚えやすく、小さなキッチンでもレッスンの満足度を上げる工夫に納得です。

出来上がった桜羊羹を冷蔵庫で冷やし固めている間にもうひとつのレッスン、練りきりに移ります。こちらは作業台で生地を作った後にテーブルに移り、手作業で一人2個ずつ作ります。

 

和菓子ならではの道具、三角棒の使い方もここで教わり、取り組みます。「先生のようにきれいにできない!」という声が上がりますが、「大丈夫です!よく見ないとわからないから(笑)」と優しく励ましてくれる入江さん。この一言でさらになごやかな雰囲気になりました。

作った和菓子はおみやげ用の箱に入れて持ち帰り、試食は入江さんがあらかじめ作っておいたものをいただくスタイル。お茶をいただきながら、ほかの季節に作る場合や組み合わせについてなど、さらに教えてもらいつつ、いつの間にか雑談に花が咲くような、なごやかなティータイムでレッスン終了です。

 

桜の季節ならでは、春にマストの和菓子たち

今回は春先の取材だったこともあり、桜の塩漬けを透明な錦玉羹に浮かべた層と白あんの2層が美しい羊羹と、薄青のあんと白あんで桜あんを包んだ練りきりの2種を制作。

生徒は羊羹を固めるための流し缶に興味津々。「初めて見ました!」という声も上がる中、「使う容器はなんでもいいんです。プリンカップで作ってもかわいいですよ」というアドバイス。自宅でも作れるのがうれしいところ。

薄青と白の2色のあんで中に入れた桜あんを包んだ練りきり。やさしく形を壊さないようにあんを伸ばしていくのが最初の難関ポイント、三角棒で均等に筋を入れていくのが次の難関ポイント。さらに筋をつけ終わった練りきりの形と線を保ったままお皿に移すのが3つ目の難関ポイント。「難しい!」と声が上がります。

 

思わずシェアしたくなるビジュアルにこだわって

入江さんが和菓子の世界に魅了されたのは、今から約10年前のこと。当時は都内に和菓子教室がほとんどなく、きちんと学ぶとしたら高額な授業料が必要な製菓学校に通うか、和菓子職人が開く講座に参加するぐらいしか選択肢がなく、気軽に学べる状況ではありませんでした。
将来的に料理を仕事にしたいと思っていた入江さんは、自分でも気軽に通ってみたくなるような和菓子教室を始めたいとその頃から考えていたそうです。

そんな経験があったからこそ、入江さんの教室では自宅でも再現しやすくするために、電子レンジを使うなど、できるだけ手順を簡単にすることや仕上がり分量も少なめにすることを心がけています。確かに、一般的な和菓子のレシピ本では完成量が「20個分」だったりすることも多く、少人数家庭には少々手が出にくいことも。
今回のレッスンでは羊羹は8個分、練りきりの生地は出来上がり量が100gなので、だいたい5~6個を作ることができます。「自分で作った和菓子をプレゼントにするととても喜ばれます」というように、お土産や差し入れなどの品にすることを想定してレッスンを行い、プレゼントする際のラッピングの提案も積極的に行い、生徒には支持されているといいます。
入江さんがもっとも気を配るのが、和菓子のデザイン。「色合いがきれいで季節感のあるかわいいものを見るとSNSでシェアしたくなる」という女性の特性も意識しているとのこと。そうした意識が口コミで生徒が集まる結果につながっているようです。

教室が本格的に稼働するようになって2年余り、リピーターも増えてきたことから上級クラスの準備も考えていると入江さん。将来的には海外でもレッスンをしたい、和菓子の素晴らしさを世界にもっと広めていきたいという夢も語っていただきました。

先生はどんな人?

外国人向けには和食のクラスも開催する一方、日本人向けの教室は和菓子に特化しています。都内だけでも星の数ほどの料理教室がありますが、和菓子に特化した教室はその数に比べるとかなり少ないのが現状。あっても和食の料理教室に付随する形で和菓子クラスがある程度がほとんどです。

最初は柳原料理教室にて日本料理、茶懐石を学んでいたという入江さん。外資系企業に勤務していたことから途中、香港に2回、合計2年ほど駐在経験があり、その期間をはさんで足掛け6年をかけて師範クラスを終了し、近茶流講師免許を取得しました。茶懐石を学ぶ中で出合った和菓子にすっかり魅了されたといいます。海外で暮らしたからこそ、四季を模した繊細で美しい和菓子の良さに目覚めたというのも理解できる話です。ちなみに香港駐在中は現地の料理学校に通い、本場で点心などを学んだそう。

入江さんはずっと料理が好きで、いずれ料理を仕事にしたいと思っていたとのことですが、会社員を辞めて一からスタートする勇気が持てずにいたといいます。確かに安定した職を捨てて身一つで教室を開くまでには、かなりの決意と準備が必要です。しかし、2回目の駐在を終えて帰国した時、とうとう会社を辞めることを決意し、大手料理教室の講師になります。そのかたわら自宅でも少しずつ教え始め、2年ほど前から自宅教室の集客を本格化して現在に至ります。

生徒の声

  • 今日は2回目の参加です。料理を仕事にしている私の友人の紹介で知り合いました。洋菓子教室にはよく行っていたんですが、和菓子は珍しいので興味を持ったのがきっかけです。お正月の花びら餅がまさか家で作れるとは思っていなかったんですが、きちんと作れました。和菓子はヘルシーですしね。作れて嬉しかったです。先生は上品できれいで、教えてくださることが的確でわかりやすい。この教室の空間自体も素敵です。
  • 3回目です。私はブルガリア出身で、日本に住んで15年になります。もともとお茶を習っていたので和菓子に興味を持ちました。材料の説明から作り方まで詳しく丁寧に教えていただけるので、わかりやすいのがいいですね。家で作ってお茶会の時に持参して振舞っています。「和菓子って家で作れるものなの?」とすごく驚かれましたけど、おいしいと言ってもらえて嬉しかったです。もっと通いたいのですが、目下、日常的に忙しくてなかなか来られないのが悩みです。
  • 先生が大手料理教室で講師をしていた時からの生徒です。自宅で和菓子の教室を開くと聞いて、こちらに来ています。実は私は和菓子が苦手だったのです。今では苦手意識は克服、先生に教わった桜餅は自宅でも作り、お友達にプレゼントしたらものすごく喜ばれました。
  • はじめての参加です。和菓子を食べるのは好きなんですが、和菓子が自分で作れると思っていなかったので今日は驚きました。練りきりが作れて嬉しいです。今日はさらに寒天とゼラチンの違いを教えていただいて勉強になりました。自宅でもやってみます。

撮影/井上美野 取材・文/綛谷久美

教室主宰者紹介
入江麻以さん
料理研究家・和菓子クリエイター。大学卒業後、就職した外資系証券会社で勤務するかたわら柳原料理教室で日本料理、茶懐石を学び、近茶流講師免許取得。退職後、大手料理学校の講師を務め、都内の自宅にて少人数制の和菓子教室を主宰。帰国子女でバイリンガルであることを生かし、英語で外国人に日本料理や和菓子を教える教室やツアー、日本人向けの和菓子教室も開催するほか、企業レシピ開発も行う。


SCHOOL INFORMATION
名称:和菓子スクール MissWagashi
エリア:東京都渋谷区
特徴:定員4人という少人数制で、デモと実習を交え、外国人向けレッスンを中心に平日と週末の日中の開催。再現性にこだわり、自宅でも気軽に作れるようレシピに工夫し、和菓子ならではの季節感とデザイン性を重視。ラッピングにも一工夫を加えた提案や、洗練された空間づくりを意識したレッスンが好評。
URL:https://www.misswagashi.com/


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