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ビジネスシーンでの正しい仕事の断り方

スキルアップ
2018年07月10日
どんな敏腕営業マンであっても、ビジネスシーンで仕事先からの依頼を断るというのは、気がひけるものです。断り方はもちろん、今後の関係に影響しないようにするために、仕事を受けるとき以上に気を配るポイントはたくさん。そしてこれは、営業マンだけでなく、個人事業主にとっても知っておくべきビジネスマナー。今回は、相手に不愉快な思いをさせず、逆に今後のチャンスに繋げられるような、そんな「ビジネスシーンでの断り方」について考えます。

2)引き受けられない理由を説明する

ただ、「すみません、残念ながら出来ません」だけだと、相手によってはいきなり頭から断られたような印象を抱かせてしまうことも。簡単に、「なぜなら…………」と理由を伝えた方が、そのあとはスムーズです。
しかし、ここが難しいところなのですが、くどくどと回りくどい詳細な理由を伝えるのも考えもの。自分に置き換えて想像してみてください。イベントに行こうと誘った相手から、長大な文章の断りメールが来て、さらにあまりにも詳細で些末なことが延々と書かれていたら。きっとうんざりしてしまい、「この人に何か言うと、あとあと面倒だな」と思ってしまいませんか。
万能な断り方というのは残念ながらありませんが、例えば仕事の依頼であったならば、日程が合わない、忙しくて着手できそうにない、経験が少なくて自信がない、他社からの依頼で同様の仕事を手がけているので契約&仁義上難しいなどという「当たり障りはないけれど、確固たる理由がある断り方」であれば、相手に嫌な印象を持たれることはないはずです。
また、企業での就労経験が少ない人にありがちですが、断る理由に家族のことなど、プライベートを話題に出す必要はありません。言う方が気分的に楽になることもありますが、「子供の学校行事があって」と詳細を伝えるよりはやはり、「その日はどうしてもキャンセルできない予定が入っていて」という言い方のほうがビジネスマナーには適しています。小さい子供や介護が必要な家族を抱えているフリーの人の場合、「緊急で家族のケアが必要になることもあるので、伝えておいたほうが今後、相手にとっても親切かも」と思うこともあるかもしれませんが、よほど深い仕事関係になる場合はともかくとして、家の中のことを仕事で携わる外部に伝える必要はありません。

3)次回は引き受けたい気持ちを伝える

これも、ビジネスシーンで断る際に必要なこと。「お引き受けしたい気持ちは山々ですが」という意思を、断る言葉とともに示しておくことで、今回残念ながら受けられなかったとしても今後へのチャンスがつながります。
しかしこれも、どんな場合にもそうすべき、というわけではありません。例えば、どうしても肌に合わないイベントへの誘いや、賛同できない企業からの仕事依頼の場合などは、次回は引き受けたいなどと言っても嘘になります。相手を傷つけることのないように気を配りつつ、「その手のイベントはなかなかなじみがなくて、参加させていただく理由が見いだせないんですよね」「●●(企業名)の企業理念とは真逆の仕事に関わることも実は多くて、きっとご迷惑になるかと考えています」などと伝えれば、相手も察してくれるはずです。

4)早めに断る

これは、ビジネスシーンでの断り方としては、意外かもしれませんが重要なポイントです。仕事の依頼をくれた相手に対して、「すぐに断ったら気を悪くされてしまいそう。私自身、ちょっと迷うところもあるし、いったん考える時間をもらおう」と考えたこと、ありませんか?
もちろん、即決することがビジネスルールではありませんので、時間をかけて考ても失礼ではありません。しかし、その間の時間が相手にとってどういうものであるかは、知っておいた方が良いでしょう。仕事の依頼にしてもイベントへの参加依頼にしても、あなたが断った後、相手は次の候補者に声がけをしなければなりません。あなたの才能ありき、という特別な仕事の場合であれば別ですが、企業からの依頼であれば、たいていは仕事の枠は決められており、そこにはまるように人材をアテンドすることが求められているからです。
「考えさせてほしい」と言われたら、相手は当然、期待を持って待つことになります。その間、こちらも「条件が良ければ受けてもいいかも」と思うあまりに、細かい質問を何度もメールで送ったりすると、相手の期待はさらに高まります。その挙句に断ったりすれば、「最初に言ってよ!」となっても仕方がありません。ビジネスシーンでは、どんな仕事にも必ず時間や予算に制限があるもの。依頼や誘いがあった時、もし不足している情報があれば、その場でビジネスライクに項目を立てて確認しましょう。そして、考えたり調整する必要があれば、「●日ほど、考える時間をいただいてもいいですか?」と相手に問うこと。「お返事はいつまでに差し上げれば良いですか?」と聞けば、スマートです。

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写真/Getty Images