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プロ直伝 テーブルスタイリングのコツ

スキルアップ
2019年03月19日

レシピを考えるのは得意だけれど、料理の盛り付けやテーブルコーディネートはいまいち苦手……という料理家は、案外多いもの。そして、料理教室に通う生徒側としては、レシピや料理技術だけではなく、器使いやカトラリー選びなども含めたテーブルセンスにも多くを期待し、学ぼうという人もまた多いのが昨今の流れです。テーブルスタイリングをアップデートする秘訣について、フードマガジン「エル・グルメ」などでも活躍中の人気スタイリスト、岩﨑牧子さんに伺いました。

「私の場合は、鈍い色調でムラのある色合いの布や器が好きで、仕事現場でもよく使います。そういった色に合わせると、和食も洋食も映えると思えるからです。けれどそればかりの一辺倒だとつまらないですよね。アジアや南米の料理などは、カラフルな器に盛るのも楽しいと思いますし、要するにルールよりも自分の好みをよく見極めることが大事だということなんです」

まずはメイン料理を盛る器を選ぶ


では具体的にどんな手順でテーブルを組み立てていくと良いのでしょう。
「基本的に、最も大事なのは料理が映える器を選ぶことです」と岩﨑さん。そのなかでも特に重視すべきは、メイン料理を何に盛るかだそう。雑誌や広告の撮影などの際も、まずはメインの料理がどのようなものになるかについて、できるだけ事前に取材するのだそうです。
「細かいレシピは撮影当日まで決まらないことも多いのですが、使われる食材(特に色)、カットされる食材の大きさ、料理に汁気がどのくらい含まれているのかなどを想像し、リムの広さや深さを意識しながら器を選びます。料理が美味しそうに見えること、実際に使っても無理がないようなものを選ぶことは大事にしています」と岩﨑さん。色の合わせ方については、食材を引き立てる色、逆に溶け込ませる色、どちらの発想でも間違いというわけではありません。
「いずれにしても、“今日の料理をどう見せたいか”という、自分なりの方向性をもっておくことは大事だと思います」。
このようにして、メイン料理の器をまずは決定し、そこからそれを軸にして副菜を盛る器を組み合わせていきます。

上質な白のディナープレートは重宝する


またメインのお皿と同じくらい重要な役割を果たすのが、白いディナープレート。上質な白い皿を用意しておくと本当に便利ですよ、と岩﨑さんが教えてくれました。
「クロスと料理を盛った皿の間にアンダープレートのようにm白い皿が一枚入ることで特別感が生まれますし、テーブルには立体感が生まれます。エスニック料理などの場合は、アンダープレートと料理皿の間に大きな葉っぱを一枚敷けば、さらに料理が生き生きとして見えます。白い皿は、もちろん日常の食卓ではメインプレートとしても使えるので、持っていて損はないと思います。装飾の少ないシンプルなものがおすすめですが、そんな器こそ、丁寧に作られた上質なものを奮発して選んでほしいと思います」

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撮影/yOU 取材・文/吉野ユリ子 撮影協力/H.P.DECO

話を聞いた人
岩﨑牧子さん
インテリア&フードスタイリスト
スタイリストのアシスタントを経てフリーに。「ELLE gourmet(エル・グルメ)」(ハースト婦人画報社)などの雑誌や広告、書籍など幅広く活躍。器やキッチン道具、家具などに造詣が深く、古いものと新しいものを融合した独特のスタイルにファンが多い。