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「テイストメイド」に聞く レシピ動画

スキルアップ
2019年02月13日

アメリカをはじめ海外で絶大な人気を集め、美しい映像でのショートレシピ動画や「ちびめし」動画などが日本でも大注目の「テイストメイド」。彼らがどんなコンセプトで料理動画を作っているのか、そしてこの先、料理動画の世界はどこへ向かっていくのかについて伺いました。

「少しでもそんな変化を敏感に察知できるよう、話題のスポットや店に足を運ぶなどし、またそのスポットの人気の原因はなんなのか、私たちに取り入れられる要素があるとしたらどこなのか、ということを日々考えています」。
何が流行っているか、何がヒットしたかよりも、その根底にある時代の空気のようなものを掴む力が必要のようです。ショーンさんはそれに加えて「創業6年経った今では全世界で月間2.5億人のマンスリーユーザーがいてデータを取れるので、データの分析によってトレンドや検索キーワードから、大体の傾向は見出すことができます。そのデータと、ミレニアルズであり確かなセンスを持つふたりの感覚が組み合わさって、今の時代にフィットする動画、が作られていきます」と語ってくれました。

大事にしているのは「エンターテイメント性」

また、多くのレシピ動画との差別化として、テイストメイドが重視しているのが「エンターテイメント性」だと言います。
「例えば肉じゃがを作りたくてレシピ動画を探す人は、他のレシピ動画を検索した方がいいと思います。テイストメイドは、見たらなんだか楽しくなったとか、自分も何か作りたくなったというようなきっかけになる動画を目指しています」とショーンさん。それは編集の上でも常に重視されています。鈴木さんは「通常のレシピ動画なら、入れた方がわかりやすい工程も、エンターテイメントの視点から省くこともあります。映像として楽しめるもの、人が見たくなる動画展開、ということを意識しています」
またレシピそのものにおいても、エンターテイメント性は重視しています。堀川さんは「私がほぼすべてのレシピのチェックをしていますが、美味しい料理でも、工程が少なすぎる、普通すぎるレシピなどはテイストメイドで見せる動画としてはフィットしません。なじみのある料理を面白くアレンジしたり、見たことのないテクニックを使うなど、エンターテイメントとして楽しんでもらいつつ、工程も仕上がりも美しいベーシックな料理を織り交ぜるなど、バランスを考えています」。
さらに珍しい食材は人気が出やすい、と堀川さん。
「白子やみる貝を使った料理はヒットしましたね。ふだん調理のプロセスを見る機会が少ない食材は、人気が集まりやすい傾向があるかもしれません」
「インスパイアされる動画」を目指した成果として、最近では「テイストメイド女子会」と称して、テイストメイドの料理でパーティを開く人々が現れているそう。「私たちがトレンドを追いかけるだけでなく、トレンドを生み出せる存在でありたいので、これはとてもうれしい動きです」と堀川さんは言います。

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撮影/田村浩章 取材・文/吉野ユリ子

Tastemade Japan
Tastemadeは2012年にロサンゼルスで設立した動画メディアを運営する会社。世界6カ国に15拠点を持ち、月間2.5億人のマンスリーユーザーを持つ。料理の他、トラベル、ホーム&デザイン、ビューティーなどライフスタイルにまつわる様々な動画を制作、配信している。TastemadeJapanは2016年に設立、レシピ動画をメインに日本オリジナルのコンテンツを配信しているほか、現在はポップアップストアとして原宿にテイストメイドカフェも運営中。https://www.tastemade.jp