1)「日の丸構図」は避ける?
ど真ん中に被写体を持ってくる「日の丸構図」。平凡な写真になりやすいから避けるべきだという人もいるけれど、「いつもそればかりになってしまうとつまらないかもしれませんが、迫力があってインパクトのある写真が撮れることもあります。シチュエーションや被写体によって違ってきますから決して避ける必要はないと思います」
2)スマホカメラを斜めに傾けて撮影しない?
前述のとおり広角レンズが搭載されているスマホは、傾けると露骨に歪みが出る傾向が。「ただし、傾けるといってもどこか一辺、平行が取れていれば問題ありません。例えば底辺がまっすぐなら、前に傾けたり上に仰いだりするのはOKだし、逆に縦がまっすぐなら、斜めの角度から撮影してももちろんOK。縦と横、両方が傾いた角度にならないように気をつけるといいでしょう。とはいえこれも、歪んだ形を楽しむという写真もあります。自分が何を求めて撮影しているかを考えて選択してみてください」
3)スマホの写真設定でフラッシュは禁止?
「スマホ撮影全般でいえば、フラッシュを使うことでちょっとシュールな生々しい雰囲気を演出することもできます。ただし、おいしそうな感じを出したい料理写真にはあまり向かないでしょう。やはり料理は自然光で撮るのが一番です」
スマホカメラを使う料理撮影の上達の秘訣
スマホでも、もっと素敵に撮影できるようになりたい!そんな人のために福田さんがさらに上達するためのトレーニング方法(?)を紹介してくれました。
ポイント1/いろんな角度からたくさん撮ること!
「スマホの魅力はどこからでも自由に撮影できること。その特徴を生かして、360度、そして下から、真横から、上からと、1つの料理でもたくさんの方向から撮影してみてください。逆光にも順光にもそれぞれの良さがあります。とにかくたくさん撮ることで、それぞれの料理のおいしそうに見えるポイントも、スマホカメラのくせも、どんどん感覚で理解できるようになります。ただし料理が冷めると本末転倒なので、撮影はスピーディに」
ポイント2/自然光で一番美しく撮れる場所を確保しよう
これはスマホに限った話ではありませんが、料理はまずは自然光で撮るべき、というのが福田さんの持論。「自宅やアトリエの窓辺のコーナーで、光が美しく、テーブルや壁などの背景も美しいベストポジションを見つけましょう。いつも同じ場所で撮影したってOK。ホームページに写真が並んだ時もトーンが揃いますし、場合によってはそのまま書籍にしましょう!という話がくるかもしれません。一番いい場所を見つけ、かつその場所で一番光が美しく見える時間帯を知っておくことです。朝日が入る時間やサンセットタイムなど、いくつか知っておいて、その時間を撮影タイムに決めるのがオススメです。撮影のことを考えるなら、“料理ができた時に撮る”のではなく、“撮影のベストタイムから逆算して料理を作る”というくらいの気概が必要です」。
ディナーの撮影をしたい時も自然光がオススメだと言います。「日没後のほんの一瞬の、残光の美しい時間帯、いわゆるマジックタイムに、料理を並べてキャンドルを置くだけで、自然光でも素敵なディナースタイルの撮影が可能です。撮影用のライトはお金もかかるし上手にセッティングするのは難しいもの。なれないライティングをするより自然光の方が断然美しく撮れると思います。曇りの日は柔らかい光に、雨の日はブルーの光になり、それぞれに美しい光があります。まずは自然光で経験を積んでいろいろな光を見つけてみてください」
ポイント3/自分の好きな料理写真の構図を真似てみよう
これもスマホに限りませんが、自分がどんな写真が好きかを知っておくことは大事、と福田さん。「料理雑誌によっても『Dancyu』みたいな写真が好きなのか、『ELLE gourmet』みたいな写真が好みなのか、さらにその中でも好きな写真家さんが見つかったらその人の写真を真似してみるのもいいと思います。配置やコーディネイトを真似してみて、何が違うのか考えてみたり。光の感じ、俯瞰の写真、斜めから見た写真、真横から見た写真、カトラリーの置き方、お皿は全部入れるのかなど、真似するとわかることがあると思いますよ」
福田さんの撮影した「東京Eatrip」の写真。まるで店にいるような臨場感が伝わるのはスマホ撮影の力。
いかがでしょうか。スマホは手軽な記録用で、綺麗な写真は一眼レフカメラやミラーレスカメラを使わないと難しいんじゃないかと思っていた人もいるかもしれませんが、スマホだからこそ撮れる写真の魅力がたくさんあることがわかりますね。まずは手元のスマホで、料理の魅力を引き出す撮影に挑戦してみましょう。